2020年第4回定例会・一般質問と答弁全文

無所属の会、塚田ひさこです。会派を代表して

*****

「すべての人が個人として尊重されるまち、豊島」と題し

1、新型コロナウイルスで顕在化した問題について

2、公務を担う人たちの労働問題について

3、その他として、「女性の生きづらさ:急増している女性の自殺」について質問します。

最初に、新型コロナウイルスで顕在化した問題について おたずねします。

  2020年3月11日にWHO(世界保険機関)が新型コロナウイルス感染症のパンデミック(感染症の全世界的流行)を発表してから、約9ヶ月が経ちました。これまで誰も経験したことのない世界同時流行のウイルスによる社会文化的な未曾有の影響を、今もなお受けているところです。

 日本、そして豊島区でも大きな影響を受けています。季節が冬に向かっていく中で第3波の状況になり、またもや緊張を強いられています。

 この間、区民をとりまく状況も大きく変わりました。緊急事態宣言が出され、これまで当たり前に行ってきたあらゆる活動に制限がかかり、観光、飲食・サービス業をはじめ多くの経済活動にブレーキがかかりました。

 今回のコロナ禍による経済への影響について「リーマンショック級」であるとか「リーマンショック以上」などよく比較されるのですが、金融関係機関への打撃が大きかった前回とは異なり、生活者を直撃しました。中でも気になるのが、女性の失業者が大量に生まれているということです。

総務省の労働力調査によると、4月の時点で女性雇用者数は3月から約74万人減少し、これは男性の32万人減の約2倍の減少者数となっています。また8月には、25~34歳の女性の完全失業率が4・7%に上昇し、年代別・男女別でみて顕著に悪化したことがわかっています。2015年7月以来、約5年ぶりの高水準です。

 そこで新型コロナウイルスで顕在化した問題は、さまざまありますが、私が今回特に取り上げたいのは「働く女性の貧困の問題」です。

 コロナの影響をまっさきに受けたのは、働く女性だと言われています。背景には、宿泊業や飲食サービスに従事するのは、男性105万人に対し、女性はほぼ倍の203万人、そしてそれらの業種は非正規労働者の割合が74%と全産業分野のうち最多であります。さらに女性に限ってみれば、8割以上が非正規で働いていることになります。

 解雇や雇い止めにあいやすく、長い期間働いていても、低賃金で昇給もないため、貯蓄ができない。従って仕事が切られたらそこで所持金がつきてしまう。そんなギリギリの生活をしていた人たちが、コロナでいっきに失業したらどうなってしまうのか。

  昨年末に行われた東池袋中央公園の炊き出しの現場においても、以前にはあまり見ることのなかった女性の姿が気になっていましたが、現場をまわり支援活動を続けている団体への聞き取りから、その状況は今も続いていることがわかり、これからの年末年始の対策が急がれます。また働いている人からの労働相談・生活相談を受けて支援活動を続けている 「NPO法人POSSE」の今野代表に話を聞いたところ、コロナ後の電話相談では、これまでになく女性からのSOSが増えてきたことも聞いています。

 そもそもなぜ女性に非正規雇用が多いのか。また女性が多い職種や業種に非正規やパートといった労働形態が多いのか。それについては、女性は、男性が稼ぎ手で、女性は家計の補助的な存在で良い、仕事を切られても夫がセーフティネットになっているのだから、問題ないと長らく考えられてきたため、低賃金のまま、また雇用の調整弁の役目として存在してきたというこれまでの経緯があります。

 男女雇用機会均等法がありながらも、一方ではそれが適応されない「非正規雇用」「パート」に、結果的に多くの女性たちが働いているのです。

「好きな時に働ける」「扶養控除が適用される税の優遇措置をつかう」といった「メリット」を感じる層も確かにいるとは思いますが、しかしかつての「男性が稼ぎ手、女性は専業主婦」の家族のあり方は変化しています。「フルタイムで安定雇用で働きたい」をのぞむ女性たちが多くなっている現状があるにもかかわらず、「人件費がおさえられるから」「雇用を雇用主の都合で打ち切ることができるから」といった理由で、非正規雇用を強いられています。

 これは、私はある種の「差別」であり、それが長引く不景気や構造改革と相まって、若い世代の雇用にもそのシステムが引き継がれていき、女性だけでなく男性にも広がっていった。その結果、格差が助長されてしまっているのが、今の実態です。これは構造的な問題です。自己責任論はまだまだ根強くありますが、所得が低い層の人たちが、「なまけているから」「がんばってこなかったから」ということではありません。

 危機や災害は、より弱い人を直撃してしまう、これは本来はあってはならないことですが、今の日本社会では残念ながらそうなっています。そして今回のコロナ禍では、コロナ以前からあった女性の貧困問題、特に若年層にしわ寄せがきている実態があぶり出されてきており、何らかの手立てが必要です。

 本区においても、直接この層への支援や政策をうつべきです。しかし実態が可視化できていないので、まずは年齢別、男女別、世帯構成、所得層などについての、実態の把握が必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。

女性の中でも最も貧困率が高く、まったなしの困難な状況となったシングルマザーへの支援については、まだ足りないながらも、民間やNPOの支援などを得て、行政とつながる、助けを求めている人がどこにいるのか、などを、本区が把握できるための道すじも出来つつあると感じています。

 一方で、支援の網の目から落ちてしまっているのが、非正規やパートなどで生計をたてている女性です。シングルで不安定雇用の中、仕事を掛け持ちしながら一人ぐらしをしている女性、またシングルで同居する親の介護を担っている方々なのではないかと考えます。親元から離れて一人ぐらしをする女子学生も、バイトなどで生活費をまかなうことが多くなっていると聞きます。そういった方々が、どのくらいの人数、豊島区内に住んでいるのかは、把握できているのでしょうか? 

また、子どもを持たないシングル女性でぎりぎりの生活を送っている人たちについては、支援体制やつながる機関についても、少ないと感じています。困っていても声を上げにくいとも聞いています。

この点について、区としてはどのように考えておりますでしょうか?

 本区は「女性とこどもにやさしい」をうたっています。SDGsの重要ターゲットに「貧困」「ジェンダー平等」があります。

 本区がすべての女性にとって、いきやすいまちであるべきだと考えます。当たり前のことですが、結婚していてもしていなくても、こどもがいてもいなくても、一人の人間として尊厳をもって生きていくための、区政であるべきです。

区長の御所見をお聞かせください。

つぎに、公務を担う人たちの労働問題について、おたずねします。

 今回のコロナ禍により区民は、区民の生活を支える基礎自治体の役目や存在についても、改めて認識をすることになったと思います。世界の都市においてもロックダウンがおこり、外出禁止令が出た時にも、働く手をやすめることのできなかった方々は「エッセンシャルワーカー」と呼ばれ賞賛されました。医療者、介護者、物流、生鮮食料品で働く人、ゴミ収集車など、いずれも市民の生活の質を守るために、なくてはならない人たちです。

 区民の命と暮らしを守るべく最前線に立つ自治体職員もまさに「エッセンシャルワーカー」でした。その認識のもとに、先の決算特別委員会の全ての質疑を聞いてまいりましたが、ここで浮かび上がってきた最も大きな課題は、職員の人員不足の問題です。

 とにもかくにも、人手が足りていません。10万円給付金をはじめとするさまざまな支援金や貸付金の受付窓口、感染症対応の最前線に立った保健所だけでなく、介護、教育、保育など、行政サービスを行うありとあらゆる部署で人が足りていなかったことは、明らかだと思いました。改めてこの点については、区長はどのような認識をお持ちでしたでしょうか? これまでも人員の手当てを講じてきてはいると思いますが、第3波への備えとしてそれは十分なものなのでしょうか?

 正規職員の補強については、定員管理計画があるため、大変に難しいことは承知しております。今は『第7次定員管理計画』で策定された10カ年計画(2017年~2026年度)にのっとっており、ここで掲げられている「定員適正化」によって、1993年には3,098人いた職員は、現在は2,000人弱になっています。

 この間、区の人口は3万人近く増えて、現在29万人になっています。

 人口増などにより、これまでも自治体の経常業務が増えてきたところに、コロナでさらに経常業務が大幅に増えているとの認識をするべきと考えます。

  例えば、コロナ関連の相談件数が倍増していますが、それに対応する職員の数は、現状ではまだまだ足りているとはとても言えないと思います。相談というのは、じっくりと時間をかけて向き合う必要性の高いものもあるわけですが、相談件数と対応人数の数字をみると、相談受付をするだけで手いっぱいだったのではないか、と思われます。この体制では物理的にそうせざるをえないわけですが、区民の抱える課題がここで置き去りになっていないのか、懸念が残ります。

またこれは一過性の課題ではありません。コロナの終息が見通せないこともありますし、また豊島区の人口構成も少子高齢化に変化しているわけで、様々な行政需要が増えていることから、この増えたままの「経常業務」が一般となるはずです。そうしたところ、これまでの「定員適正化」の考え方、経費削減すなわち人件費削減は、考え直す時にきていると思いますが、この点はいかがでしょうか? 

 今年は、会計年度任用職員制度がはじまった年でもあります。そこにコロナウイルスの感染爆発がおこり、ステイホームで多くの職場が閉鎖されましたが、保健所はじめ医療や介護の機関、行政窓口、ゴミ収集、公立保育園などの公務の多くが継続されてきました。そこには多くの非正規職員も働いていました。相談員一人一人が、感染の不安を抱えながら対応を行ってきましたし、今も行ってくださっています。そこには、正規・非正規の区別はないはずです。

 しかしながら、本区に限ったことではありませんが、正規・非正規の待遇の差には大きなものがあります。

 ただ率直に言ってこれほどの待遇に差があると、精神的にも相当にきついのではないか、と思います。

 安心して働ける環境とは、職場の信頼関係もありますが、安定的な雇用契約や一人でも自活できる賃金報酬、経験を積み重ねて働くとキャリアップが得られ昇給もあるし貯蓄もできること。これら働く人にとって当たり前のことがかなえられる環境に、正職員でなくとも公務を担う非正規職員もあるべきです。

 そうしたことが行えてこそ、区民にとっても良い、適切な行政サービスが提供できる、というものです。働き手の個人の尊厳を保障するとともに、それは行政サービスの受け手である区民の利益にも資すると言えるのではないでしょうか? 

 公務員の場合は、民間の会社とは違って、正規であっても非正規においても、男女の賃金格差は制度上はなく平等です。しかし非正規職は女性が多く占めているのは明らかです。また有料ボランティア(図書館読み聞かせ、点字、民生委員)などの仕事についても、ほぼ女性が担っています。

 いわゆる「女性職種」というものが、公務の中にも存在していて、そこに「安くてあたりまえの働き手」「待遇より奉仕」といった、ジェンダーバイアスのかかった社会規範にあてはめて、公的サービスを低コストでまかなってきたという歴史があります。結果、女性の貧困を作り出してきたとも言えます。

 (私は、公的な機関が、これらを無自覚に推し進めてきたとすれば、非常に問題だと考えます。)

本区においては、ジェンダー平等の視点からも、公共サービスに従事する人たちの間には民間委託事業にあっても、男女賃金格差があってはならないのと考えますが、いかがでしょうか?

 先日、人事院からの就職氷河期世代を対象とする公務員採用試験についての発表がありました。

 東京都における特別区職員採用試験がありましたが、事務職の募集枠37名に対し申込者数は2479名、そのうち受験者が1,514名で、採用予定者に対する倍率は、40.9倍でした。同じく就職氷河期世代を対象にした各省庁共通で実施された初の国家公務員中途採用試験には、1万943人の申し込みがあったとのことです。採用予定人数は157人なので、60.7倍となります。

 これより前に話題になっていたのは、兵庫県・宝塚市の就職氷河期に限った市職員募集です。この時はたった3人の募集に、全国から2,000人近くが応募し、倍率はなんと600倍でした。

政府は「就職氷河期世代応援プログラム」を発表しており、このプログラムでは、2020~2022年度の3年間で氷河期世代の正規雇用を30万人増やす数値目標を作り、国家公務員も2022年度までに計450人以上を採用するとしており、自治体もそれに続いたということです。

  政府の「就職氷河期世代支援プログラム」は、遅すぎる感が否めませんが、この異常なほど高い倍率は、それだけ安定的な雇用を求めている人が多く、支援を必要としていることの現れでもあります。

 就職氷河期世代は、本来は年齢的には、結婚し家族を持ち、またバリバリと社会・経済の中心で働いて、社会の活力となるべく人たちです。しかし今は、30代半ばから40代半ばの層で未婚で親元にいる方が300万人にのぼるというデータもあります。これは一昔前にはほとんど見られなかった層です。結局、安定的な仕事を得られていないために、自立も結婚もできないのです。このまま彼ら・彼女らが親の介護に突入し非正規やバイトの仕事もやめ、介護離職になる可能性も極めて高く、いわゆる「8050問題」「7040問題」は、自治体においても時限爆弾を抱えているようなものです。

 そこで質問します。今回の特別区の事務職の採用に対して、本区では何人の採用が予定されていますでしょうか? 今後も積極的に採用をしていく予定でしょうか? 就職氷河期世代が新卒の時代には、本区の採用はゼロが続いたと聞いています。その世代の公務を担う人たちがずっぽり抜けていると、スキルを若い世代につなぐことも難しく、公務の空洞化を生んでしまうのではないかとの懸念があります。正規職員が難しければ、この世代の人員を確保するなんらかの手立てが必要と考えますがいかがでしょうか?

最後に、その他として、「女性の生きづらさ:コロナ禍で急増している女性の自殺」について質問します。

 このところずっと減少傾向にあった自殺が、今年7月から増えています。特に顕著なのが女性の自殺者の増加です。先ごろ発表になった警察庁の自殺統計によると10月の自殺者数は、2153人。男性は前年同月比で21.3%増えて1302人。女性は前年同月比で82.6%も増えて851人となっています。女性は、すべての世代において増加傾向にあり、特に気になるのが若い世代の自殺者の増加です。高校生、中学生も増えているという非常にショッキングなデータです。

 豊島区の2012年〜2016年までの統計によると、女性(20代と50代)の自殺率が全国平均よりかなり多いという現状があります。これらの要因についての分析および対策について、また今回のコロナ禍の影響をどう受け止めているでしょうか。

素人による不確かな推測や憶測は、危険を伴うので行うべきではないですが、専門家によると、女性の自殺の増加については明らかにこれまでと違う傾向がみられると懸念を示されています。

 10月に本区で行われた「エポック10ミニフェスタ」、区内で子育てやジェンダーに関する活動を精力的に続けている市民団体による講座を、私も受講させていただきましたが、性暴力の被害者に寄り添って活動を続けている「フラワーデモ」の呼びかけ人である作家の北原みのりさんのお話からは、改めて若い世代の女の子たちをとりまく環境が変わってきていることを実感しました。

 DV相談も昨年を上回るペースで増えています。女性の貧困問題や経済格差が、ここでもリンクしていると感じ、そのまま「生きづらさ」につながっているのではないか、と懸念します。

コロナ禍で雇用環境や家庭環境をめぐって、女性をとりまく環境が厳しさを増しているデータが相次いで示されており、10月19日、内閣府の「新型コロナウイルスの感染拡大が女性に及ぼす影響を議論する有識者研究会」は、緊急提言を橋本聖子男女共同参画担当相に提出しました。有識者らは「女性に不利な社会構造がより顕在化した」と分析をしており、第3波となれば、女性へのしわ寄せがさらに強まると警告を出しており、「政府だけでなく、現場の自治体や民間企業も含め、政策を緊急にうちだすべき」と訴えています。

本区は「女性にいきやすいまち、としま」「誰もとりのこさないまち、としま」を政策の中心に掲げています。SDGS未来モデル都市にも選定されました。

 SDGSにおいては、国際的な視点からみると、日本が世界の先進国に比べて、がんばらなくてならないのは、ジェンダー平等、その中でも男女の賃金格差です。

 日本のグローバルジェンダーギャップ指数の落ち込みの要因は、政治部門が144位で、女性政治家の数ばかりが言われますが、経済格差も115位で深刻です。日本は男女の賃金格差が大きく、 日本は、男性に経済的に依存しないと生活できない状況が構造的につくられてきたことが、本当に問題です。

 ミドルクラスで働く女性たちの底上げや支援、環境改善について、豊島区は日本の中でも先進的な自治体であると評価をしています。保育園の整備もしかり、高野区長をはじめ、行政組織で働く職員、一人一人に高い意識があってこそ、管理職における職員の男女比率、男性77.9%、女性22.1%と、3割に近づく数字となっているのだと思います。(本当は、限りなく半分に近づくべきであり、そこを目標にしていただきたいのは変わりありませんが)

 私は、決定権のあるポジションに女性が多く入っていくことで、ジェンダー平等の社会が近づくと 思ってこれまで提言も続けてきましたが、コロナ危機によって、いよいよまったなしの状況がやってきていると、危機感を強めています。

 本当に苦しい人たち、女性たちを救わなくてはなりません。少しでも安定的で安心できる仕事につながるよう、そして自立し自活ができるパワーを手に入れて、理不尽な立場においやられたり、暴力に悩まされたりしないよう、そして絶望して自ら命をたつなどということが絶対にないように。

 すべての人が、「個人」として尊重される、誇り高く生きていけるとしま区民であるための政策を求めます。 誰も取り残してはなりません。

 今こそ豊島区には、日本を牽引するべく、真の「ジェンダー平等」を目指し、また真のSDGSの理念の実現のための、さらに踏み込んだ政策を求め、私の一般質問を終わりにします。ご静聴、ありがとうございました。(以上)

          ***************

区長答弁)

ただいまの、塚田ひさこ議員のご質問に対しまして、お答え申し上げます。

新型コロナウイルスで顕在化した問題についてのご質問のうち、豊島区がすべての女性にとって、いきやすいまちであるべきことについてのご質問にお答えいたします。

新型コロナウイルスの発生により、日本中が経済はもとより様々なダメージを受けております。就業や家庭生活の急変などその影響は、より女性が被っていることは、私も認識をしております。

豊島区は、国際アートカルチャー都市すなわち文化を基軸としたまちづくりに加え「子どもと女性にやさしいまちづくり」を大きな柱の一つに掲げております。

それは、コロナ禍においてもぶれるものではなく、コロナ禍であるからこそ、その影響を受けている女性に対するより一層の支援が必要と考えております。

SDGs未来都市に選定された本区は、誰一人取り残さない社会の実現に向け、女性はもとより、すべての人のその人権が守られ、その人らしく住み続けていただけるまちづくりに今後もより一層努めてまいります。

 次に、公務を担う人たちの労働環境についてのご質問のうち、まず、行政サービスを行うありとあらゆる部署で人員不足であることの認識及び第3波への備えとして十分であるかについてのご質問にお答えいたします。                   

 これまで豊島区は、行政運営の基本「最少の経費で最大の効果」をあげることを念頭に、職員定数の適正化や人件費の抑制を図りつつ、各所管の状況を踏まえて、必要な職員数を配置するよう、努めてまいりました。

一方で、増え続ける行政需要・重要政策の展開への対応にあたり、さらなる組織体制の充実強化が必要となる部門があることも、感じております。

また、新型コロナウイルス感染症対応のような、突発的な業務量の増については、全庁的な応援体制を取りつつ、人材派遣なども活用し、対応してまいりました。第3波と言われる感染拡大についても、最前線で働く職員が、十分に力を発揮できるよう、この間の経験を踏まえ、今後の応援体制の必要性を検討してまいります。

次に、様々な行政需要が増えていることから、「定員適正化」の考え方を考え直すことについてのご質問にお答えいたします。

豊島区はこの間の様々な取り組みにより、住み続けたいまちとしての評価が従前以上に高くなったことから、人口も平成30年7月には29万人を超えました。ただ、現在、コロナ禍の関係で外国人の人口が3千人程度減っておりまして、28万人台になっております。人口増や多様化する行政需要等を踏まえ、これに見合った職員体制を検討すべきであると考えております。引き続き、人件費の肥大化に留意し、業務の効率化も進めつつ、「削減ありき」ではない定員管理の在り方について、後期基本計画の策定のなかで検討を進めてまいります。

 次に、非正規職員が安心して働ける環境が行政サービスの受け手である区民の皆さんの利益にも資することについてのご質問にお答えいたします。                               

 本年度、会計年度任用職員制度のスタートにあたり、本区が最も意識したのは、職務内容や職責に応じた待遇等の勤務条件の整備・改善でした。

期末手当の支給や臨時職員への交通費の支給など、約1,700人の会計年度任用職員の雇用条件は大きく改善しています。

処遇や休暇制度などの働きやすさは、時にサービスの質に影響を及ぼすと考えており、会計年度任用職員として働く側だけでなく、区民の皆さんにより良い行政サービスをお届けするという点でも、重要視したところです。

今後も、行政サービス水準の維持向上と、それらの一翼を担う会計年度任用職員が、意欲をもって働けるよう、職場環境整備に努めてまいります。

次に、ジェンダー平等の視点からも、公共サービスに従事する民間委託事業者においても男女賃金格差があってはならないことについてのご質問にお答えいたします。                                                            

労働者が性別により差別されることなく、その能力を十分に発揮できる雇用環境を整備することは重要であると考えております。本区では、業務委託契約書に添付している仕様書に、履行期間や履行内容の他、留意事項として、「本契約の履行にあたり、性別に起因する差別的な取り扱いを行わないこと」を義務付けております。

また、年間委託事業者を対象に実施している社会保険労務士による労働条件等調査のヒアリングの際にも、最低賃金以上の支払いや仕様書記載事項の確認を行っております。

 次に、今回の就職氷河期世代を対象とする特別区の事務職の採用試験における、本区での採用人数及び今後の採用方針についてのご質問にお答えいたします。                               

 今年度新たに導入された、いわゆる就職氷河期世代を対象とした採用試験による採用予定数は1名ですが、60歳未満で一定の社会経験があれば受験可能な「経験者採用制度」では、26名の採用を予定しています。従前よりこの制度を活用し、多くの就職氷河期世代を職員として採用してきたことから、今後も、新たに導入された就職氷河期世代対象の制度と従前からの経験者採用制度を併用しつつ、即戦力となる人材の確保に努めてまいります。

次に、職員の採用ゼロが続いた期間における、その世代の人員確保策についてのご質問にお答えいたします。

平成17年・18年度の2か年事務系の採用をゼロとせざるを得ず、私は非常に断腸の思いで、これも財政再建のための行政改革による人件費の削減という形の中で、採用ゼロとせざるをえなかったわけです。その後も、平成19年度に10人、20年度に17人と少ない時期が続きました。今振り返りますと、働きがいのある年齢層の採用が大きな穴となり、その対策としての経験者採用になっています。

本区の過去3年間の職員採用においては、全体の約3割を民間企業等の経験のある者が占めております。事務職に限れば、新規採用者の40から50%を占めており、即戦力の職員として、それぞれの職場で活躍してくれています。経験者採用制度発足の平成20年度から今年度までに、166人の採用となっております。

また、経験者採用制度の受験者には、就職氷河期の世代も多く、結果として、かつて採用が少なかった世代の職員構成のバランス是正にも寄与しているところです。

今後も、大変厳しい採用環境のなかで、社会経験を積んできた優秀な人材を積極的に採用し、あわせて職員構成の適正化にも努めてまいります。

なお、私からの答弁は以上ですが、その他の質問につきましては、高際副区長から答弁申し上げます。

 新型コロナウイルスで顕在化した問題についてのご質問のうち、まず、年齢別、男女別、世帯構成、所得層などの実態把握の必要性についてのご質問にお答えいたします。

 コロナ禍の中で、女性の受ける影響が特に深刻との認識は、区としても強く感じております。国連では、グテーレス事務総長が本年4月9日、「コロナ対策において女性・女の子を中核に据えるよう」声明を出されました。また、内閣府においても9月30日に「コロナ禍の女性への影響と課題に関する研究会」を設置し、11月19日に「緊急提言」を公表しています。その際合わせて公表された「参考データ」で、就業面、生活面での統計や分析が盛り込まれております。

コロナ禍において、より顕在化してきたと言われる女性の貧困の問題を捉えるには、若年女性等が向き合っておられる状況について把握することが重要であると考えております。

区では、女性を取り巻く様々な問題について、相談窓口や区民の声にお寄せいただいた内容を受け止め、必要な対応を行っているところですが、今後、さらなる実情の把握がどのようにできるか検討してまいります。

 次に、非正規やパートなどで生計を立てている女性の区内の人数についてのご質問にお答えいたします。

お話しにありました、非正規雇用や、パートタイムで働く独身女性のなかで、仕事を掛け持ちしながら一人暮らしをされている方、また、同居する親の介護をされている方等について、それぞれの具体的な人数は把握しておりません。

なお、平成30年に実施した「子ども・若者総合計画策定のためのアンケート」では、男女合わせての数字となりますが、20~24歳で9.8%、25~29歳で14.1%の方が契約社員・パート等とのお答えでした。

ご指摘の、女性の非正規労働者の多さについては、先に申し上げた研究会でも、女性は、男性に比べて非正規雇用の方の割合が高く、特に、コロナの影響を大きく受けている宿泊・飲食業、生活娯楽業、小売業などで、その割合が高いと示されております。

区といたしましては、「誰一人取り残さない」との観点から、生活に様々な困難を抱えている方を孤立させることのないように、民間団体等とも連携すること等により、現行の支援が届きにくい方にも目を向け、取り組んでまいりたいと考えております。 

次に、一人暮らしの女性が支援体制につながる機関が少ないことについてのご質問にお答えいたします。

 「子ども・若者総合計画策定のためのアンケート」のうち、18歳から29歳までの男女302名を対象とし、相談場所の認知度と利用状況をうかがったところ、「くらし・しごと相談支援センター」が認知度8.6%、利用状況1.3%、また、「子ども若者相談『アシスとしま』」が認知度3.3%、利用状況では0.7%との結果でした。

認知度の低さとそれに伴う利用状況の低さは課題であると認識しており、必要な支援におつなぎする第一歩として、今後、「くらし・しごと相談センター」「アシスとしま」等、相談支援窓口の周知に一層、力を注いでまいります。

 次に、その他のご質問のうち、本区の女性の自殺率が全国平均よりかなり高い要因の分析及び対策並びにコロナ禍の影響についてのご質問にお答えいたします。

豊島区の女性の2014年から2018年までの平均自殺率は、人口10万人当たり20代が15.4人、50代が21.1人と、全国平均よりも高い状況にあります。国から自殺の原因や動機に関する自治体ごとのデータは公表されておらず、区が独自に要因を分析することはできませんが、厚生労働省の令和2年版自殺対策白書によると、20代の女性の自殺の原因・動機は、健康問題が最も多く、次いで男女問題、家庭問題の順となっています。また、50代の女性は健康問題が最も多いのは変わりませんが、次いで家庭問題、経済・生活問題の順となっています。自殺の原因としては、多くの場合、うつ病などの健康問題に加え、いくつかの問題が複合的に関係していると言われており、本区においても同様の傾向ではないかと考えます。

続きまして、コロナ禍の影響についてですが、本区における本年1月から9月までの自殺者数は、男性9名、女性6名の15名でした。昨年同時期の自殺者数は、男性25名、女性16名の41名であり、現時点では自殺者数の増加は認めておりません。しかしながら、今後、新型コロナウイルスの感染拡大、長期化が、雇用や生活環境、人間関係など様々な面で悪影響を及ぼし、生活の不安やストレスを増大させていく可能性が考えられます。

区は現在、保健所に「こころとからだの電話相談窓口」を開設し、感染拡大への不安感や体や心の不調に関するご相談に対応しています。一人でも多くの方に知っていただけるよう、10月21日号の広報としまには、「ひとりで悩んでいるあなたへ、その悩みうちあけてみませんか」という記事を掲載し、相談窓口を周知しました。「セーフコミュニティ自殺うつ病予防対策委員会」においても、今後の対策について検討してまいります。

 以上をもちまして、塚田ひさこ議員のご質問に対する答弁を終わります。