一般質問しました。「誰一人取り残さない、持続可能でやさしいまちづくりへ」

*22日に行いました一般質問の原稿を上げて起きます。主に以下の3点についてお聞きし答弁を得ました。質問の後に答弁もあります。

1.困難な問題を抱える女性への支援について

2.「教育格差」を生まないための教育支援について

3.子どもたちを守る「人権教育としての性教育」について

一般質問を行います。

区長と教育長の、前向きな答弁をお願いします。

初めに●困難な問題を抱える女性への支援についてお聞きします。

先の国会で「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」(以下女性新法)が成立し、2024年に試行します。これまでの婦人保護事業は、1956年に制定された「売春防止法」を根拠にしていたため法の目的が「補導処分」「保護公正」でした。しかし女性が困難な状況に追い込まれた背景にはさまざまな女性特有の状況があることから、女性新法の目的・基本理念には、「女性の福祉」「人権の尊重や擁護」「男女平等」が書かれ、「女性が安心、自立して暮らせる社会の実現に寄与する」ことも明記されています。

女性新法は、財政支援の根拠を初めて明記し、国と自治体に

1)教育・啓発 2)調査研究の推進 3)人材確保 4)民間団体援助

の面からも支援に取り組む責務があると書かれています。

自治体における既存事業の拡充や新たなモデル事業を行うための、国からの予算の拡充を図っています。

そこで質問です。本区においては、この女性新法の成立を踏まえ、困難な問題を抱える女性支援の取り組みを、1)教育・啓発 2)調査研究の推進 3)人材確保 4)民間団体援助 の面からは、どのような取り組みやまた既存事業の拡充をすべきだと考えていますか? 

基本計画策定の予定も含め、その進捗などについてお答えください。

 女性新法では、昨今の複雑化する女性の困難な状況や、ジェンダーバイアスのため見えづらくなっている状況を変えていくため、自治体は民間団体などと支援調整会議をつくって、連携・協働した支援を行うことを求めています。民間団体と円滑で効果的な連携を図る上で、自治体と民間が対等な立場であることが重要であり、支援に対する自治体側の意識改革も必要ではとの指摘もあります。本区はこれまでもさまざまな支援事業において、民間団体との支援会議体を設置し協働支援を行ってきています。

そこで質問です。困難な問題を抱える女性支援に関しては、民間団体との協働支援について、どう活かしていくべきと考えますか?

女性新法では「女性相談員」の重要性についても指摘がされています。高い専門性や経験、知見を有する必要性に加え、女性がDV被害者の場合は、相談に乗っている女性相談員が、加害者の関係者との間に入って調整をしているうちに、時には危険な目にあったり訴えられたりという、リスクもあります。

こうしたことから国は、令和4年度予算において、婦人相談手当に経験年数に応じた加算を新設し、調査・指導のための経費の補助など、活動強化事業も盛り込まれています。

そこで質問です。本区における女性相談員の役割や置かれている環境は、どのようになっていますか? 配置状況や研修はどのように行なっていますか?

支援する側の女性が会計年度職員といった有期雇用のため、将来の見通しが立たないなど、不安に苛まれるような働き方であってはならないと考えます。支援する女性の側においても、女性新法の目的と理念に書かれている「女性が安心、自立して暮らせる社会の実現に寄与する」に沿ったものであるべきと考えますが、いかがでしょうか? 

区長の考えをお聞かせください。

本区においては、若年女性の支援においてはすでに区役所横断組織「すずらんスマイルプロジェクト」があり活発に活動を続けてきました。その実戦からの手応えと、新たな課題もまた可視化されてきているのではと思います。

例えば本事業で、支援を行なった若年女性も年月が経つと、ライフステージが代わりその環境に応じた、新たに困難な問題に直面することもあるでしょう。そしてそれはまた、女性特有のものであります。

女性新法は、その支援対象を若年女性に限ったものではなく高齢者から、障害のある方や外国人までと幅広いものです。

本区においては、ライフステージの変化に応じた、支援の拡充の必要性についてはどのように考えているのでしょうか? 

環境や年齢によって、複雑化し多様化する女性ならではの困り事にきめ細かく対応できる、実効性のある支援を充実させていくべきです。新法の理念を幅広く浸透させ、女性と子どもにやさしい、誰一人取り残さない豊島区の実現を目指すべきです。

区長のお考えをお聞かせください。

次に

●「教育格差」を生まないための教育支援について お聞きします

「教育格差」とは、その人が置かれた環境によって、受けることができる教育に不平等が生まれてしまうことです。日本においても子どもの教育格差の問題は深刻です。出身家庭や地域など自分ではどうすることもできない「生まれ」で、受けられる教育の選択肢や可能性が制限されてしまうといった、「緩やかな身分制度」があると指摘する社会教育学者もいます。

「教育格差」を生み出している、一つには貧困の問題があります。

まず、現状では教育費にお金がかかり過ぎています。中学校までは義務教育ですが、それでも教育費が全くかからないわけではありません。さらに子ども一人を大学まで通わせると、大学卒業までにかかる平均的な教育費(下宿費、住居費等は除いても)は、全て国公立でも約800万円かかります。また全て私立だと約2,200万円に上るとの試算があります。日本教育費の公的負担率が極端に低く、そのぶん家庭に負担を強いているのです。

そのため、子どもの方から遠慮して「学びたいのに学ぶのをあきらめる」子どもたちが多くいるという状況にもなっています。文科省「高校生の大学進路に関する保護者調査」(令和3年度)によると、「世帯収入が少ないほど、大学進学(国公立と私立大学の合計)を希望する割合が低い。この傾向は授業料の比較的低い国公立大学においても確認できる」としています。世帯収入が650万円未満の世帯は、平均よりも進学希望者が低いという調査結果もあります。

子どもの教育格差の是正、これこそ国や行政が率先して取り組むべき、最優先の課題と考えますが、区長はどのように考えますか? 

 本区は来年2月に児童相談所が開所します。本区においても、児童相談所が設置される前から、虐待や育児放棄などにより社会的擁護を必要とする子どもたちについては、区外の児童養護施設や里親の元で暮らしています。

そうした子どもたちに対しての、区の支援やフォローというものは、今はどのようになっているのでしょうか? また児童相談所が設置されることで、その支援体制が強化されることにもなるのでしょうか?

 私は、国の負担によって全ての子どもや若者に対して、教育費は大学院卒業まで無償にするべきとの考え方です。しかしそれが叶わない今は、せめて学び続けたいという夢を「教育格差」のために諦めなくてはならない、子どもへの支援が必要です。

具体的には、児童相談所の一時保護を経て、児童養護施設や里親で暮らした若者に対しては、区が独自に給付型の奨学金を出すなどし、全面的に支援をするべきではないでしょうか?

文科省の資料によると、児童養護施設退所者の中退率は、一般の全学年の学生と比べると、約8倍多いとのデータもあります。これは、家賃や生活費を稼ぐためのアルバイトと学業との両立が大変だったということです。

この状況はなんとしても変えなければなりません。もちろん学歴が全てではありませんが、学びたいという若者の夢を、区は全力で応援するべきです。学びたいのにお金がなくて学べない若者を、豊島区はゼロにするべきです。

 こうした課題を解決しようと取り組んでいる自治体の先行事例があります。例えば世田谷区では児童擁護施設などを巣立った若者の進学や社会的自立を応援する「せたがや若者フェアスタート」として、給付型奨学金、住宅、居場所支援・地域交流支援を行っています。それらの財源には基金を創設し寄付を募っています。

本区においても、「としま子ども若者応援基金」を創設しており、困窮する家庭へのお米の配布など食糧支援とアウトリーチを行っておりますが、今後の「子ども若者応援基金」の活用事業に、本区に新しく設置できる児童相談所と連動し、子ども若者の未来のために使っていただきたいと考えますが、いかがでしょか?

区長のご所見をお聞きします。

最後に

●子どもたちを守る「人権教育としての性教育」について お聞きします。

今年4月より「教員による児童生徒への性暴力防止法」が施行されました。性犯罪を犯し懲戒処分となった教員が、3年後に再び教員免許が再交付され子どもの前に立ち、そして再犯が行われるという事件が少なくない、ということから法律が作られました。

今年6月には、教師からの性被害を受けた当事者の方から直接お話をお聞きし、子どもたちの身近に起きている性暴力について学び考える学習会に参加をしました。これは区民の方による「エポック10フェスタ2022」の企画であり、私も一緒に学ばせていただきました。そこで区民の方から「豊島区では、子どもたちを取り巻くこうした状況についてはどのように認識をしているのか? また教員への研修内容や実施状況などについても知りたい」との要望を受けました。

そもそも性被害を犯した教員が再び教育現場に戻り、子どものいる環境で仕事はするべきではないと考えます。教員の配置に関しては東京都教育委員会の管轄になっていますが、本区教育委員会においては、今回の法律施行については、どのように受け止め、また教員への研修内容や実施状況なども含めて、今後どのような施策の推進や研修を考えているのか? お聞かせください。

子どもたちにおいても、 性暴力の加害者、被害者、傍観者にならないため、2023年から全ての学校で「いのちの安全教育」が始まります。発達の段階に応じた、「生命(いのち)を大切にする」「加害者にならない」「被害者にならない」「傍観者にならない」ための教育を実施する、とあります。この「いのちの安全教育」についての、本区の方針や取り組みをお聞かせください。

本区においては「デートDV予防教室」の研修を区内の公立中学校において行っています。また区立保育園においては園児と保護者向けに「CAP子どもへの暴力防止事業」を他区にさきがけて実施しており、効果もあげていると聞いています。こうした研修を今後はさらに小学校、幼稚園での実施も検討しているのでしょうか? 

また「プライベートゾーン」や「同意」などの教育の実施は、各学校でどのようになっているのでしょうか? お聞きします。

「いのちの安全教育」が実施されると、子どもたちからたくさんの「性被害についての「SOS」が出てくるだろうとも言われています。そうした時に、教員や周りの大人が、ちゃんと子どもたちの「SOS」を受け取れることが重要です。そのためには教員など大人が「人権とジェンダー平等」をちゃんと認識しておくことが、何より求められるのではと思います。それについての対策が急がれますが、何か具体的な研修について考えていますでしょうか? 

子どもを取り巻く大人(教師や学校関係者)に対しても、「プライベートゾーン」「性的同意」「からだの自己決定権」「バウンダリー(境界線)」についての研修が必要だと考えます。なぜなら、これまでそのような性教育を受けてこなかった教員自身が、「それは性暴力である、セカンドレイプである」という認識が低い場合があり、無自覚なまま子どもたちと接することで、それが「性暴力」や「セカンドレイプ」につながっている恐れもあると考えるからです。まずはこれまで本区が取り組んできた「デートDV予防教室」のプログラムの教職員向け版を作り、研修を実施してはどうでしょうか?

ユネスコが2009年に公表し、2018年に改訂した国際的な性教育の指針となっている「国際セクシャリティ教育ガイダンス」があります。世界の先進国においては「性を学ぶことは人権教育」と捉え、ガイダンスでは、質の高い「包括的なセクシュアリティ教育」を提唱。健康と福祉を促進し、人権とジェンダー平等を尊重し、子どもや若者が健康で安全で生産的な生活を送ることができるようにすることを目的としています。5歳〜8歳、9歳〜12歳、12歳〜15歳、15歳〜18歳以上、と発達段階の年齢に合わせて、教えるべきセクシュアリティ教育についてのプログラムが書かれています。例えば、12歳〜15歳では、「性的虐待、性暴力、親密なパートナー間の暴力、いじめは人権侵害」だと教えます。またこれらは低年齢から繰り返して学ぶことが大切であるとしています。

これまで日本の学校現場では、学習指導要領の制限などもあり、子どもたちはこうした性教育を受けてきませんでした。私も全く受けた覚えがありません。

そうしたことから、子どもたちのまわりにいる大人たち、教師も含め、自らが意識的に学んできていない限りは、残念ながら「人権教育として性教育を捉える」視点が欠落していると言わざるを得ません。

一方で、日本の刑法上は13歳が「性的同意年齢」、(これは性行為への同意を自分で判断できるとみなす年齢のことで、明治時代に制定されてから100年経た今も変わっていません。)という時代錯誤的な社会の制度がいまだにつづいていることも問題です。性暴力が何かを知らない弱者である子どもは、性被害の危険と隣り合わせでもあります。子どもをそうした性被害から守るためにも、包括的な「性教育」は必要です。

「いのちの安全教育」は、国際的な指針「国際セクシャリティ教育ガイダンス」を参考に、人権教育としての性教育を、是非とも本区で推進すべきと、強く要望します。

教育長のご所見をお聞きします。

質問は以上でおわりですが、最後に一言もうしあげます。

昨日も他の議員からありましたが、私も本区の男女共同参画推進会議の会長をつとめている治部れんげさんが区長にインタビューされた記事をかつて強い印象を受けました。

終戦時、8歳だった高野区長は、焼け野原の池袋に立ち、日本はもう終わりだと思ったところから、壮絶な戦後を生きてこられたことが語られていました。

インタビューの中で区長は、その体験が「平和あってこその文化」であり、そこににぎわいや経済がついてくると語っています。

強烈な戦争体験によって導き出されたその理念こそが、高野区政の根底には流れているものだと、この間感じています。

戦争というのは、いちど起きてしまったら、なかなかやめることができない、ということを、ロシアによるウクライナ侵攻の、この悲惨な戦争を目の当たりにして、つくづく感じている今、政治がやらなければならないのは、いかにそれを回避するか、ということです。

それは、なにも国や国会議員だけがやる仕事ではなく、こうして自治体においても、

「文化で平和をつくる」との強い思いで、アジアの国々との友好なネットワークをつくり、また区民のなかにも、多文化共生ということが当たり前のように生活の中に浸透してきている、そんなまちづくりができるということを、身近にいて触れることができています。

戦争体験者が政治のリーダーであることの重要性を、ひしひしと思うとともに、戦争体験のない私たちもまた、高野区長が築いてきた、平和や多文化共生への思いを大事にし、引き継がなければと強く思っている次第です。

ご静聴ありがとうございました。

(以上)

    無所属の会 塚田ひさこ議員 令和4年第3回定例会 一般質問答弁

このたびの、塚田ひさこ議員のご質問に対し、私からの答弁より担当である高際副区長から全部お答えした方が適切でありますが、何点か私からお答え申し上げます。

困難な問題を抱える女性への支援についてのご質問のうち、女性支援新法の成立を踏まえた困難な問題を抱える女性支援の取組みの拡充及び進捗状況についてのご質問にお答えいたします。

「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」、いわゆる「困難女性支援法」は、様々な困難な問題を抱える女性の福祉の増進を図るための支援を推進することで、人権の尊重および女性が安心し、かつ自立して暮らせる社会の実現に寄与することを目的に、本年5月に成立し、施行は令和6年4月1日とされています。

区はこれまでも、様々な困難を抱える女性に対し、福祉や保健医療、労働、住まい、教育、子育てに関する施策など、様々な面から支援を行ってまいりました。

令和3年1月には、「すずらんスマイルプロジェクト」を立ち上げ、民間団体とも連携し、よりよい支援に向けた検討および取り組みを進めております。

これまでの区の取り組みは、困難女性支援法の趣旨に副うものであり、法の制定を踏まえ、今後より一層、支援強化に取り組むべきと考えております。

区市町村は、法に基づく国の基本方針および都道府県の基本計画を勘案して、計画を定めるよう努めるものとされており、本区においては、今後、国や都の策定動向を踏まえ、計画策定について検討してまいります。

次に、「教育格差」を生まないための教育支援についてのご質問のうち、子どもの貧困の問題に伴う教育格差の是正に関する私の考えについてのご質問にお答えいたします。

「教育格差」は、「学力の格差」や「進路の格差」など、生まれた家庭状況や世帯収入などが子どもの教育環境にも影響する問題であり、教育格差によって将来の選択肢が狭められることは何としても防がなくてはなりません。

全ての子どもが等しく安心して教育を受けることができる環境を整えることは、国や行政が取り組むべき、最重要課題であると考えております。

私は、豊島の子どもたちが笑顔でかけがえのない時を過ごし、健やかに成長してほしいと願い、教育と福祉の発展に全力を注いでまいりました。

特に、困難な状況にある子どもや若者に対しては、「ひとり親家庭等の子どもに対する学習支援事業」や、「子ども若者支援事業」など、個別に寄り添いながら生活や学習支援を行う事業に取り組んでまいりました。

また、子ども食堂や無料学習支援に取り組んでいる地域団体やNPO法人を積極的に支援し、区が事務局となってネットワーク化を図りながら、まさに公民連携の手厚い応援体制で支援を行っております。

これからも、全ての子ども・若者が生まれ育った環境に左右されることなく、夢や希望をもって生き、そして成長できるまち「豊島」を目指し、地域全体で子どもの未来を応援する施策を、教育、子育て、文化を融合し、総合的に推進してまいります。

私からは、答弁は以上でございますが、先ほど、最後にご発言にありました、私に対して、昨日の答弁の中で、戦争を体験したというか、実際に私自身小学生一年生の時でありましたが、私自身はすぐそばの縁故疎開というかたちで栃木の母親の実家でちょうど戦争にあったわけですが、その前に、本当に東京に近いから、その東京が空襲にあって、真っ赤に火が燃えているあの光景を私はいまだに忘れることはありません。また戦後もこの池袋に戻ってきて、あまりにも無残に変わった姿を目の当たりにして、戦争というのは、何もかもなくなってしまうのだなというような、幼いときでありましたが、強烈な風景は忘れることができませんでした。いかに平和が大事であるかということを体験したわけであります。私も80を過ぎ、恐らく豊島区職員、議員の中では最高年齢であり、また私自身がそういう体験をしたことを伝えることも、残された大きな仕事ではないかなと思っております。私もできるだけ機会あるごとに、こういう思いを、未だに、この年齢になっても、あの戦後のすさまじい光景、焼け野原から、すさまじい、闇市時代の生活をずっと体験してきただけに、いかに平和が大切さであるかということも含めながら、残された時間を、決して私もそう長くはないと思いますが、体験しただけに、実感も伴うと思うので、いろんな機会にそういった思いをもつと同時に、区政に対しても、それがほんとに、私がなぜ文化というものを強くこの区に求めてきたかというのは、文化というものは、人の心を豊かに、穏やかにし、そして街に賑わいを作って、賑わいのあるところには必ず文化がある、文化のないところには賑わいは生まれません。そしてまさに文化は絵をつくるのです。未来をつくるのです。そういう思いが、私が強く持ってきた言葉です。この豊島区政に対して、私がこういう政策を中心にしながら進めてきたことです。もちろん、私の考えかたが全てではありません。そういう考え方が根底にあったということを改めて、ご質問いただきまして思い出しました。

大変貴重なご質問をいただきましたので、つい、話が長くなりましたが、多文化共生の豊島区をまたぜひつくっていきたいと思います。

なお、私からの答弁は以上ですが、その他の質問につきましては、高際副区長から、教育委員会の所管に属する事項につきましては、教育長から答弁申し上げます。

困難な問題を抱える女性への支援についてのご質問のうち、まず、困難な問題を抱える女性支援に関して、民間団体との協働支援に対しどのように活かしていくかについてのご質問にお答えいたします。

民間団体との協働支援の例としては、去る9月6日に、一般社団法人「ひきこもりUX会議」と協働して、ひきこもり女子会を開催しました。運営側が当事者と同じ体験をしている女性であること、また、活動に行政特有の堅苦しさがないことなどから、「この場所は自分に合っている」「思いを吐き出すことができ、気持ちが楽になった」などのご意見をいただきました。

コロナ禍にも関わらず、多くの方にご参加いただけたのは、ひきこもりを支援する行政の取組みと、緩やかにつながれる空間を創り出す民間団体独自の特徴が相まって、効果を生み出したものと考えています。

区としては、困難を抱える女性に対しても、こうしたひきこもり支援で培った経験を活かし、行政と民間団体が対等な関係性の中で、それぞれの強みや特徴を活かした特色ある活動が展開できるよう協働し、支援の幅をさらに広げていきます。

次に、区における女性相談員の役割及び環境等についてのご質問にお答えいたします。

区では、女性相談員を男女平等推進センターおよび子育て支援課に配置し、女性からの様々な相談に対し、必要に応じて自立促進担当課や子ども家庭支援センターなどの関係部署や、東京都女性相談センターなどの関係機関と連携した支援を行っております。

また、子育て支援課の女性相談員は「売春防止法」に定める婦人相談員として、DV被害や居所がない等の理由で、緊急に支援が必要な女性の保護対応も行っています。

DV被害への支援は、警察と連携し、状況に応じて警察に同行していただくなど、安全にも配慮して対応しております。

女性相談員の体制といたしましては、男女平等推進センターに3名、子育て支援課に9名、このうち、会計年度任用職員は7名です。なお、会計年度任用職員は、5年間の有期雇用ですが、再任は妨げないものとなっております。

相談員の研修につきましては、会計年度任用職員も含め全ての相談員が都の主催による相談員研修を新任時に3回受講するほか、現任相談員についても、実務者研修を年3回程度受講できるようにしております。

また、すずらんスマイルプロジェクトにおいても、保健所をはじめ、子ども家庭支援センター、教育センター、社会福祉協議会など女性からの相談に対応している相談員が集まる連絡会を設置し、研修やケース検討を行っており、各人の対応力の向上および相談員間の連携強化に努めております。引き続き、女性の様々な困難な問題に対し、全相談員が一丸となって向き合い、相談者に寄り添い、実効性ある支援につなげていけるよう、今後ともより働きやすい職場環境づくりに努めてまいります。

次に、ライフステージの変化に応じた支援拡充の必要性についてのご質問にお答えいたします。

区は、ライフステージにより変化する女性の困難な問題に対し、男女平等推進センター、子ども若者課、子育て支援課を中心に相談に応じ、民間団体とも連携しながら様々な支援を行ってまいりました。

このような状況の中で、困難女性支援法の制定により、自治体における役割や民間団体との連携・協働など、支援のあり方が具体的に示されたことは、これまでの区の取り組みをさらに強化する推進力になるものと考えております。

今後、区の組織全体で新法の理念を共有し、それぞれの世代の女性の問題に丁寧に向き合い、その方に適した支援を包括的に提供できる体制の構築に向け、取り組んでまいります。

次に、区外の児童養護施設や里親の元で暮らしている子どもたちに対する区の支援やフォロー並びに児童相談所が設置された後の支援体制の強化についてのご質問にお答えいたします。

現在、児童養護施設や里親の元で暮らしている子どもたちへの支援につきましては、東京都児童相談所がその役割を担っております。

東京都児童相談所において、施設等からの家庭復帰が可能と判断されますと、子ども家庭支援センターが中心となり、保育所、幼稚園、小・中学校や地域の子育て団体、NPOなどで構成する「要保護児童対策地域協議会」のご協力を得ながら、子どもの家庭生活を支援しています。

来年2月の児童相談所開設後は、施設への入所措置等の権限が東京都から豊島区に移り、区の児童相談所が、施設や里親に措置されている豊島区の子どもに対して、施設入所から退所まで、一貫した支援を行うこととなります。

また、万が一、施設に入所している子どもが、施設内で職員等から虐待を受けた場合には、子どもに寄り添いながら、施設変更や、ダメージを受けた子どもへの心理的ケアなどを行います。

児童相談所の開設を契機として、「豊島区の子どもは豊島区が守る」という強い決意のもと、子どもたちが夢と希望を抱き、安心して健やかに成長していけるよう、これまで以上にきめ細かな支援体制を構築してまいります。

次に、児童相談所の一時保護を経て、児童養護施設や里親の元で暮らした、大学に進学して学びたいと考える若者に対して、区が独自の支援をすることについてのご質問にお答えいたします。

厚生労働省の調査によりますと、令和2年5月1日現在、全高等学校卒業者の進学率が約74%であるのに対し、児童養護施設の子どもの進学率は約33%であり、こうしたデータからも、施設に入所している子どもの進学に関しては、様々な課題があるものと認識しております。

こうした状況を背景に、進学の支援につきましては、国の「高等教育の修学支援新制度」による、非課税世帯に対する給付型奨学金があり、この対象者は、入学金と授業料の減免を受けることができます。

また、東京都では、児童養護施設等の利用者の退所後の自立生活の支援を目的とし、学校を卒業した場合には、就学支度資金の貸付金が全額免除となる「自立生活スタート支援事業貸付制度」があります。加えて、大学等卒業後1年以内に就職するなどの条件を満たした場合、「生活支援費」、「家賃支援費」などの無利子の貸付が返済免除になる「児童養護施設退所者等に対する自立支援資金貸付事業」の利用が可能です。

このように国や東京都において、支援制度の充実が図られていることから、現時点で、区独自の奨学金を創設する考えはございません。本区では、児童養護施設退所後の様々な課題について「アシスとしま」にて対応しており、今後も、ご本人の意向を丁寧に伺い、施設退所後、子どもたちが夢や希望をもって歩んでいけるよう支援してまいります。

次に、としま子ども若者応援基金を児童相談所と連動し、若者の未来のために活用することについてのご質問にお答えいたします。

「としま子ども若者応援基金」は、その名のとおり、子どもたちの未来を応援するために立ち上げた基金です。そうした基金であるので、区では、基金設立当初より、基金活用事業の対象として、社会的養護を必要とする子どもや若者も想定しております。

今後、豊島区児童相談所が支援する、子どもや若者などの意見も聞きながら、より有効な基金活用事業を検討してまいります。

私からの答弁は以上でございます。

引き続きまして、教育委員会の所管に属する事項に関するご質問に対しまして、お答え申し上げます。

子どもたちを守る「人権教育としての性教育」についてのご質問のうち、まず、「教員による児童生徒への性暴力防止法」の施行をどのように受け止めているか及び教員への研修内容や実施状況などを含めた、今後の施策の推進や研修についてのご質問にお答えいたします。

本区では、これまでも子どもの教育に関わる職員によるわいせつ行為、セクシャル・ハラスメント、その他不適切な行為を防止し、児童生徒の尊厳を保持するよう努めておりますが、「教員による児童生徒への性暴力防止法」では、特に告発義務が盛り込まれており、法施行の背景となった深刻な状況も含め。その法の施行を大変に重く受け止めております。

全ての学校において、性暴力の防止を含め服務規律に対するすべての教職員の意識を向上させるために、「服務ニュース」をもとに服務事故に対する注意喚起を毎月行っておりますが、さらに、具体的な事故内容から自身を振り返るための「服務事故防止研修」を毎学期行っております。

今後も性暴力など具体的な問題を取り上げた服務事故防止研修や職層に応じた人権研修を行い、教職員の性暴力に関する人権感覚や規範意識を高めてまいります。また、児童生徒には相談窓口の周知を徹底し、未然防止、早期発見・早期対応に努めてまいります。

次に、「いのちの安全教育」に関する区の方針や取組についてのご質問にお答えいたします。

令和3年5月に、区立のすべての幼稚園・小学校・中学校に、文部科学省と内閣府による「生命の安全教育」の教材や啓発資料、手引書等を配布いたしました。そして、池袋幼稚園、西巣鴨小学校、巣鴨北中学校において、先行的に「生命の安全教育」を実施しました。令和4年度は、さらに池袋本町小学校・西池袋中学校においても実施を追加しております。

誰もが性犯罪・性暴力の加害者にも、被害者にも、傍観者にもならないための教育を進めていくために、今後は、生活指導主任研修等の教員研修において、先行実施している学校・園の取組を周知し、令和5年度からは、全ての学校で適切に実施できるよう指導してまいります。

次に、「デートDV」の研修を小学校、幼稚園で実施することの検討状況についてのご質問にお答えいたします。

「デートDV」授業に関しましては、子どもたちの発達段階を踏まえ、幼児と児童には、まず日常的に「いのちの安全教育」を充実させることが重要であると考えます。

従いまして、各幼稚園、小学校におきましては、アプローチ・スタートカリキュラムを踏まえた保幼小の連携を基に、相手を思いやる心等をしっかりと育てていくよう、指導・助言してまいります。

次に、各学校における「プライベートゾーン」及び「同意」の教育の実施についてのご質問にお答えいたします。

「プライベートゾーン」については、幼稚園から、自分の体の大事なところを守ることの大切さを、繰り返し指導しております。また、「同意」すなわち「自分の身体のことは自分で決めること」につきましても、幼稚園のときから、人との距離感の学習として、相手が近付いてきたり、体に触れたりして不快な気持ちになった場合、距離を置くことの大切さを指導しております。このことにつきましても、「生命の安全教育」の教材の中に、非常に効果的な資料が含まれておりますので、先行実施した学校や園の実践事例を参考に、全ての学校と園にしっかりと指導してまいります。

次に、子どもたちのSOSを受け取れるよう、教員など大人が「人権とジェンダー平等」を認識するための具体的な研修についてのご質問にお答えいたします。

令和3年度より、内閣府が主催する教職員を対象とした、性暴力・配偶者暴力等被害者支援の研修会に、本区は、校長、園長、副校長、生活指導主任、養護教諭等を必ず参加させております。

動画によるデートDV予防教育紹介、学校における被害者支援の現状と課題の講義等、人権教育の必要性を改めて大切であると認識できる内容であり、研修内容を校内で確実に共有するよう指導しております。

教育委員会といたしましては、引き続き、男女平等推進センターなどと連携しながら、人権について、教員や大人たちの認識を高めるよう努めてまいります。

次に、「デートDV」のプログラムの教職員向け版を作り、研修を実施することについてのご質問にお答えいたします。

現在、区立全中学校で実施している「デートDV予防教室」のプログラムは、DV予防をするための基礎知識に留まらず、幅広い年齢層に対応した内容となっております。例えば、相談を受けた者の対応の仕方についても組み込まれておりますので、教職員向けに別途新たにプログラムを作成するのではなく、人権教育研修等で本プログラムの内容を周知徹底することで効果をあげてまいりたいと考えております。

次に、「いのちの安全教育」において、「国際セクシャリティ教育ガイダンス」を参考に、人権教育としての性教育を推進することについてのご質問にお答えいたします。

本区では、これまでも、東京都教育委員会が発行した安全教育プログラムの指導事例などをもとに、子どもが性暴力を含む犯罪被害に遭わないよう、安全教育の徹底を図ってまいりました。また、道徳科の授業を要として、学校教育全体で、横断的に規範意識や思いやりの心等を育む人権教育を推進しております。

今後も学習指導要領に則るとともに、国や都の新たな動向を踏まえて対応することが基本であると思いますが、最も重要なことは、全ての子どもたちが、性犯罪等の加害者にも、被害者にも、傍観者にもならないようにすることであり、危険を予測し回避する能力、生命を尊重する態度、互いを思いやる心などを身に付けさせる人権教育を充実させることだと認識しています。深刻な子どもたちの性被害の現在の状況に対して、本当に大人たちが子どもを守れるかが最大の問題だと考えており、その解決のために必要な教育実践に今後も力を尽くしていく所存でございます。

以上をもちまして、塚田ひさこ議員のご質問に対する答弁を終わります。