国民健康保険料負担に関する反対討論

ただいま上程されました、●第29号議案「豊島区国民健康保険条例の一部を改正する条例」の可決に反対の立場から討論します。また委員会においてあわせて審査を行いました、後ほど議題にあがる6陳情第3号「子育て世代の国民健康保険料の負担軽減を求める陳情」(継続審査となっていた「5陳情第25号、高すぎる国民健康保険料の引き下げを求める陳情」の、委員会審査不採択についても、反対の立場から討論します。

この条例は、特別区国民健康保険事業の調整に伴い、保険料率などの改定を行うものであり、これによって本区一人当たりの保険料は、前年度比の7.6%増の19万6019円となる、この4年間の推移においても最も大幅な増になっています。(168億の)特別区独自の負担抑制策を講じ、(一般会計からの法定外繰入)で、一人当たり保険料の伸びを、1万412円抑制していますが、それでも保険料は大幅増です。

要因として、加入者の高齢化や医療の高度化による医療費の増、特別区独自の負担抑制策の段階的縮小があげられています 。

加入者の高齢化は、これからも増えていくことは明らかです。これまで続けてきた特別区の激変緩和措置については、今年度は、特別区全体で244億円、豊島区では9億円を投入し(法定外繰入)し、一人当たり、1万3682円の抑制を行なってきたことは評価しますが、この激変緩和処置についても、令和8年度で終了を予定しているとのことです。

負担抑制策を講じないと、一人当たりの保険料は、今年度においても20万を超えてきます。しかしながら、特別区独自の激変緩和処置を打ち切ることに対して、何の対策も想定していないというのは、困っている区民目線とはとてもいえません。

国民皆保険制度を維持していくにあたり、現在の少子高齢者時代において、現役世代が、高齢者を支え続けるという制度設計事態がすでに破綻をしており、早急な抜本的見直しを国が行うべきであるということが大原則です。もちろん、国や東京都に対して、公費負担金を増やしてもらうよう強く要望をこれまで以上に続けていくことは必要ですし、国民健康保険事業会計の独立性は重要だと考えます。しかし、区長会を通じての再三の要望にも国が応じないというのであれば、それまでの時限的な措置として、区が何かしらの補助を考え投入しないと、高すぎる保険料のために払えずに滞納ということにもつながりかねず、社会保障としての国民皆保険制度が破綻しかねないと懸念します。

国民保険に一般会計からの法定外繰入をすることは、「不公平である」という意見や議論が必ず出てくるのですが、果たしてそうでしょうか? 「企業組合の社保の場合は、保険料を企業が半分支払っているのだから、国民健康保にばかり、一般財源、すなわち税金を投入することは、不公平だ」との、意見です。委員会の中でもありました。

ここでは、「平等」「公平」「公正」という言葉を、考えたいと思います。

たしかに「平等」かどうか、という点においては、国保事業の方により大きな補助金が入っているので、「国保」と「社保」の税金の入り方においては、「平等」ではないかもしえません。しかし「公平」という観点で言えばどうでしょうか。

「公平」とは、条件や能力を考慮した上で、同等に扱っていくことです。また、

「公正」とは、全てにおいて偏りがなく、正しく扱うことです。

そもそも、国保加入者と社保加入者とでは、保険料も国保の方が圧倒的に高い上、窓口負担も大きい。にも関わらず受けられるサービス(例えば未就学児以外の子どもの保険料が免除にならない、傷病手当が出ないなど)も大きい。それらは、よくある保険の比較「メリット、デメリットの一覧」を見ても明らかなことです。そうした「差」がもともとあるのに、保険料の値上げによってさらに「差」が大きくなろうとしている。だからその「格差」がひろがらないようにし、調整をするのが税金の役割であり、それによってより「公平」や「公正」が保てるということではないでしょうか。そうしたことを、そもそもは、国費負担で行うべきことですが、間に合わない場合は、(給食費補助のように)時限的にでも自治体でやらざるを得ないのではないでしょうか。

また陳情の方にある「子どもの保険料の負担軽減」について、本区は、令和4年4月より未就学児童(1217人)の均等割は半額に軽減をされていますが、小学校以上の子どもについては所得のない大人と同じ金額の保険料となっています。となると、子どもの数が多いほどその負担は大きくなります。また、令和6年1月より産前産後期間に係る保険料を 4 か月分軽減とありますが、(該当者56人)「子育てしやすいまち」を掲げる本区においては、さらなる拡充があるべきではないでしょうか。

 春闘で賃上げ率が33年ぶりに5%を超える見通しとは言え、定期昇給分を除けば3%台にとどまります。実質賃金は厚労省の毎月勤労統計調査によれば22ヶ月連続マイナスで、個人消費も日銀の消費活動指数を見れば低迷しています。このように経済の情勢、消費指標が悪化する中で、区政において区民の負担増をもたらすことは最大限の努力で回避するべきと考えます。

 こうした未だに低迷を続ける経済状況の影響を、最も強く受けるのは、経済基盤が脆弱で社会的に弱い立場にある方々です。そして国民健康保険の加入世帯は、失業者など無職や自営業者、フリーランスなど個人事業主や、社会保険のない中小零細企業の従業員、子どもや高齢者といった方々です。社会的に弱い立場にある者が、主とする構成員であるにもかかわらず、保険料の負担が毎年増え続けている現状をまず重く受け止め、区民の命とくらしを守る最前線にいる自治体として、苦しい状況にある区民の立場にたち、何ができるのかをぎりぎりまで考えるべきでです。

以上で、反対討論とします。