一般質問しました!2024年第3回定例会(2024/9/26)
立憲・れいわ・市民の会の塚田ひさこです。 「生きてるだけで価値がある、としまのまちづくりへ~」と題し、
- 2023年度決算について
- 区民参加のまちづくりについて
- 福祉政策について、一般質問をします。
区民の側に寄り添った、前向きな答弁を求めます。
最初に、「2023年度決算について」質問をします。
決算の特徴として、区は、
1、「区民生活支援に積極的に取り組んだ歳出」
2、「財政の健全性を堅持した歳入」
3、「重要性を増す計画的な財政運営」とし、
全体としては、昨年に続き「良い決算であった」と、しています。
基幹歳入を支える特別区税は8億8,600万円増となる367億2,500万円、昨年に続き過去最大額であり、特別区財政調整交付金は、24億円3,700万円増の377億円でこちらも過去最高額です。ここ数年は、数字を更新続けています。まずは、その要因とそれが与える区財政への影響については、どのように分析されていますか?
納税者の人数が増えたことも一因と思いますが、いずれ頭うちになることも考えての、見通しを立てているかと思います。その点についても、これから10年後、基幹歳入がどう変化していくのか? どんなシミュレーションを描いているのか、お示しください。
区民生活を支えるため、積極的な財政出動を行なったとしていますが、その内容についてお聞きします。例えば扶助費は、増額傾向にありますが、主に生活保護費、子ども関係経費、高齢者関係経費などについて、特に何に重きをおいての財政出動であったのか、についてもお示しください。またこの規模感になった理由や根拠についても、お示しください。
基金の積立てについては、昨年よりさらに81億6771万円積み増して、596億8,567万円。貯金が借金を360億円超過している状況です。しかしこれでもまだ、安心はできない、とのことですが、その理由と考え方についてお示しください。また安心できないのであれば、どのくらいの基金があれば、安心できるのかについても、根拠と共にお示しください。
また、令和5年度より、改善・見直しの余地の大きな事業を選定する、新たな「事務事業評価」を実施していると報告を受けており、そこでは「リビルドする」という表現を用いています。決算の実績を踏まえてのことになるでしょうが、数字が悪くても、区民にとってはなくてはならない事業である場合は、誰がどのように「評価」していくのか、についても気になるところです。新たな「事務事業評価」を、現在進行中の来年度の予算編成に、どのように組み込んでいくのか? 来年度予算への影響についてもお示しください。
日本全体で見ると、相変わらず日本経済の停滞が続き、人口減少のスピードも止まらない状況です。そんな中、東京都が一人勝ちのように言われて、人口も増え、税収も上がり、不動産価格も信じられないくらい高騰していて、本区もその影響を大きく受けています。しかし、こうした華々しい数字だけでは決してわからない、日々の暮らしや将来への不安に押し潰される人々がいます。住民の暮らしと命を守る最前線に立つ自治体は、よりきめ細やかな行政サービスが求められています。積み立ててきた基金は、将来の学校や公共施設改築のために必要だということは、十分に理解できることではありますが、一方で今、この瞬間、目の前の困っている人を救えるのは、基礎自治体しかありません。そこへの財政出動は、しっかりあるべきと考えます。
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次に、「区民参画とまちづくりについて」質問します。
現在、1年前倒しの「基本構想・基本計画策定のための審議会」が開かれており、私も会派を代表し参加をしておりますが、タイトなスケジュールの中、公募区民を含む委員が、熱心な議論を重ねているところです。区民参画の一環として実施する、2日間の「豊島区民ワークショップ」では、多様な区民に参加してもらうため、住民基本台帳から無作為に抽出した4000人に開催案内を出し、その中から89人の応募があり、中でも20代〜30代からの申し込みが全体の4割程度に上ったとのこと。9月15日の回には、会派の西崎議員が傍聴に行きましたが、若い方の参加が目立ち、職員の他、池袋プラットフォームからサンシャインシティの社員、大正大学の教員らが、ファシリテーターを務め、興味深いワークショップとなっていたとのことです。
区長はこれまで、「基本構想・基本計画の策定には、区民ニーズの把握、区民目線を重視しながら策定に臨んでいく」と述べられています。
そこでお聞きをします。無作為抽出による、大規模な「区民ワークショップ」を開催し〜豊島区のまちづくりを区民とともに考える〜、とするその意義と目的について、お示しください。また15日の区民ワークショップに参加をした職員の方々が、区民との対話からどのようなことを受け止めたか、についてもお示しください。
区民参画でまちづくりの大きな方針を作っていくことの、重要性について、改めて確認したいと考えています。
本区には、平成18年3月に制定された「豊島区自治の推進に関する基本条例」があります。第1条の目的に「豊島区の自治の基本理念及び、基本原則を明らかにするとともに、区民、区議会及び区長についての、それぞれの役割並びに区政運営に関する基本的な事項を定めることにより、自治の実現をはかること」と明記されています。また第5条には、「この条例は、豊島区の自治の最高規範であり、区民及び区は、この条例に定める事項を最大限尊重しなければならない」とし、最高規範性を明記しています。
基本構想・基本計画を策定することも、第40条「区長は、この条例の理念にのっとり、地域の将来展望を示す基本構想及びこれを具体化するための基本計画等を策定し、総合的・計画的な行政運営を行わなければならない。」と書かれていることから、これを根拠に行われていることがわかります。
そこで改めて確認します。「豊島区自治の推進に関する基本条例」の現在の位置付けについてお聞きします。また、基本構想、基本計画との関係についてもお示しください。「自治の推進の基本条例」は、改正されていませんので、基本構想のまず冒頭には、このことがわかるように明示する必要がある、と考えますが、いかがでしょうか? 区長の考えをお聞かせください。
わたしたちの会派で青森県弘前市に行政視察に行きました。桜の管理維持についてのお話を聞くと同時に、「市民参加型まちづくり1%システム」についても視察を行いました。
この制度は、個人市民税の1%相当額を財源にし、市民自らが主体となって、まちづくりや地域づくりをする事業に対しての、活動の支援であり、市民の主体性や参画意欲を高め、促すものです。平成23年6月より行なってきています。
本区では、昨年より「豊島区民による事業提案制度」を行なっていますが、こちらは「区民が提案や要望するもの」について、区民の投票はありますが、区が具体的に事業化し実施するもの。「弘前市市民参加型まちづくり1%システム」は、本区の区民活動推進事業に近いものと、言えるでしょう。
この「弘前市まちづくり1%システム」は、公募型の補助金ですが、主体的な市民を育てる仕組みとして優れているのは、市民が「やりたい」と考えた活動が実現できるよう、徹底的に伴走し応援するところです。補助金事業の採択を決める1%システム審査委員会では、応募者全員、審査をクリアできるように、適切なアドバイスを行い、どんな人でも「まちづくりに一歩踏み出す」きっかけとなる、大きな役割を果たしているということでした。ちなみに、この審査委員会のメンバーは、学識経験者や公募市民など15名で、行政職員は一人も入りません。すなわち、行政側の「都合」は、そこにはあまり入らないということです。そして、事業のプレゼンテーション・公開審査会は、透明性を高めるため、一般公開とし、自由に見学・傍聴ができ、市民の関心をさらに喚起することに努めています。
そうした工夫をしながら、令和5年も52件ほどの事業が採択をされています。高校生グループの応募もあるなど、若い世代のまちづくりへの参画にも貢献しています。採択された事業が継続してうまくいくように、市は周知や実施などのサポートも全面的に行います。
また、一度やってみて市の事業としても、有効だと判断したものについては、事業を企画し運営をしている団体と市が委託契約するものもあるとのことでした。
市民の自由な発想による取り組みが展開され、その中から事業に格上げするという、市民と行政がパートナーの関係での「協働」ができ、なおかつ市民と地域をエンパワメントしている先進事例と言えるでしょう。
そこでお聞きします。
本区においても、区民活動推進事業などからそのような事例はありますか? また今後は、「区民提案型事業」の中においても、区民から「事業のアイディア提案」を受けるだけでなく「提案した区民の団体が、そのまま事業の主体になる」という仕組みについても、取り入れてはいかがでしょうか?
地域の課題が複雑化や深刻化し、変化のスピードが速まっているというのは、誰もが実感していることではないでしょうか。そのため、行政や専門家だけでなく、住民主体のまちづくりへの、注目が集まっています。豊島区は先進的に「住民参加のまちづくり」ができる条例や環境は整えてきています。しかし今、住民参加のまちづくりも、参画から協働の時代を迎え、その先を見据えていかなければならないとも言われています。
これまでは、行政が計画策定し区民に提案し、区民から意見をもらう。そして区民らの意見を「参考」にすることはあるが、主体はあくまでも行政主導、というのが、おおむね現在の状況です。住民自らが計画を策定し、必要であればそれに行政が意見を出すような、「住民主体・行政参加」といった「まちづくり」の有効性も言われているところです。区民もまた、区政やまちづくりにおいて、「お客様」ではなく、主体として考え動き、実践できるような力をつけていくことが、求められています。
区民と行政の関係は、主従関係や、お客様とサービス事業者のような関係ではなく、「対等なパートナーの関係」でまちづくりを一緒に進めていくべきです。地域づくりやまちづくりに関して、住民が主体となって考え決めることができる体験を持つ。そうしたことを重ねることで、住民が自ら気がついた課題を、社会資源を活かして解決するような動きが起きる、それが目指すべきこれからの地域の姿ではないでしょうか。 区長の見解をお聞きします。
最後に、福祉政策についてお聞きします。
基本構想の審議会で、福祉部局のまちづくりの方向性についての議論がありました。基本計画素案の第1番目に、「どんな悩みごとでも受け止める相談体制の強化」とあり、福祉のまちづくりへの、強い思いを感じ、大変に頼もしく感じました。
しかしながら、以前よりも何度か申し上げていることですが、区民の方から「困っているので区役所に相談に行ったが、あちこちの部署をたらいまわしにされた」という声は、継続的にこちらに寄せられています。つい先日も受けた電話では、「生きていけないほど生活が苦しくなり、役所に行けば、どうにかなるかと思い行ったが、あちこちまわされ、待たされ、結局、4ヶ月ほどかかり、最終的には弁護士に同行支援をしてもらい、生活保護につながった」など、適切な支援につながるまでに、かなりの時間や外部の支援者の助けが入っている場合が、現状少なくありません。また、せっかく支援につながったとしても、役所への不信感を募らせることになってしまっています。ここは、10年後の「あるべき姿」ではなく、すぐにでも解決するべき課題です。
まず福祉の相談以前の問題として、「困っているが、どこに相談に行ったら良いのかわからない」区民の方は、少なくないと思います。
前期のことになりますが、秩父市に視察で訪れた際、市役所入ってすぐの、1階総合受付の前に立ち、来庁者への対応が、大変に慣れた様子で、テキパキ案内をし、担当窓口まで同行している女性がいらっしゃったのが印象的でした。その際、議会事務局の方に聞いたところ、あの女性は、元福祉部門の部長で、定年後の再任用でやっているとお聞きし、それなら迷うことなく、適切な相談窓口につなぐことができるだろうと、おおいに納得したものです。ちなみに秩父市に聞いたところ、「行政コンシェルジュ」という、現在も継続中の事業で、元部長職の女性三人がローテーションで担当。特に高齢の市民から助かると評判が良いとのことでした。
福祉のワンストップ総合窓口は、今、様々な自治体で設置がなされているようです。23区においては、目黒区でもまさに「福祉コンシェルジュ」の名称で、開設がされています。以前、福祉部長からは、「ご相談は、どこの窓口であっても、同じようにしっかりと受け止めて、情報共有し支援につなげる」との、ご答弁がありました。その心持ちを全ての職員に持ってもらう、という基本姿勢は、すばらしいことなのですが、区民にきちんと見える形で、「ご相談を受け止めます、ご安心ください」という、本区の姿勢を示すには、物理的な場所や、「看板を掲げる」というのも重要な要素になります。そこで、以前にも提案をしたことですが、福祉に特化した総合窓口案内コーナーを1階、または2階の目立つところに置く。そして庁内のことを把握しきっている、再任用の適任な職員の方を「コンシェルジュ」として配置することを、今こそ前向きにご検討ください。答弁を求めます。
次に、福祉政策の2番目、精神障害福祉についてお聞きします。昨年の第3回定例会の一般質問でも取り上げました。そこで、「入院医療中心から地域生活中心へ」の理念を実現するため「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築推進・支援事業」を進めていることを確認しました。その際に、「本区の強みを生かし不足している地域資源を保管できる体制を組み、豊島区版地域包括ケアシステムの実現を目指す」ことや、そのためにもまずは、「精神障害者包括支援部会で、ワークショップ形式にて、地域課題の洗い出しを行ない、地域アセスメントをまとめる」ことに取り組んでいく、との答弁がありました。
そこで質問をします。
豊島区版地域包括ケアシステムの進捗状況についてお示しください。また初めての開催となった、ワークショップとは、どのようなものであったのか? その実施から見えてきた地域課題は、何だったのか? また当事者の声には、どのようなものがあったのか? そうしたことから、今度、何をしていかなければならないと、区が考えているのか? を、お示しください。
また本区には、民間のグループホームや作業所が多数あることは、特徴であり強みです。しかしながら、グループホームの区民の利用者率は、15%と極めて低く、事業者からも、もっと区民の方に利用してもらいたいとの声も聞きます。こうした状況が、数年来続いているとお聞きしました。区内グループホームの空きがない場合は、病院からの退院希望を出して許可が出たとしても、「お試し入居」をすることもできず、地域移行がスムーズにできないのではないか、と懸念します。
入院や施設ではなく、アパートやグループホームなど、いわゆる地域で安心して共に生きていくための障害者総合支援法による介護給付や訓練等給付があり、居宅介護、同行援護、行動援護、共同生活援助(グループホーム)などが受けられることになっていますが、せっかく区内にグループホームがあっても、そこへの空きがないことにより、区内の地域で暮らすことの選択肢が少ないことには、ならないでしょうか? 今現在、区外の病院に入院をされていた方が、区内にもどって、地域で暮らしたいという希望を持った場合、本区においては現在、どのような方法によって、地域で暮らすことができるようになるのでしょうか? せっかくある、地域資源を活かした方策についても、お示しください。
次に福祉政策の3番目、生活保護行政についてお聞きします。生活保護は、生活保護法によって枠付けられ、地方自治体によって執行される国の事業です。憲法25条が保障する、文化的で健康な生活が送れない状況にある人は、誰でもこれを受けることができる、みんなの権利であり、最後のセーフティネットです。しかしながら、偏見や間違った言説によって日本における生活保護の捕捉率、いわゆる生活保護を必要としている人々のうち、実際に生活保護を受けている人の割合は、他の先進国と比べて、20~30%と極めて低い現状があります。また横行しているなどと言われる不正受給は、全体の0.3%です。本来は受けるべき人が、受けられていない由々しき現状であることを重くみて、生活保護に対しての正しい理解と、偏見をなくすための周知が必要です。
周知の方法の一つに、ポスターやリーフレット、しおり、webサイトといった、発信がありますが、自治体自らがこれを発信することは、非常に効果的です。最近、杉並区の職員が作ったという、生活保護の相談や申請をためらうことがないよう呼びかけるポスターが、話題になりました。生活保護について記載されたホームページも同様にわかりやすく、そのページを見ただけで、「生保受給」の要件から一連の手続きの流れについても、よくわかる内容になっています。
一方で本区の生活保護についてのホームページをみると、情報量が少なく、無機質で不親切な印象を受けます。近隣区の「生活保護のしおり」が、カラー化されている中、本区の「生活保護のしおり」と「生活保護Q &A」は、単色刷りなのも、残念ですが、なんとWeb上には、その「生活保護のしおり」と「生活保護Q &A」へのリンクもありません。
本区においては、「すずらんスマイルプロジェクト」や、「子どもの権利相談室」など、様々な部署で、職員が自ら作成したキャラクターや、それを使ってのリーフレットやポスターなどの展開があり、豊島区らしさを発揮し評判も良いという実績もあり、ノウハウもあるわけです。
そうしたこれまでの、ノウハウを活かし、最も困っている方々である、生活保護受給を考えている人への啓発や助けとなる、ポスター、リーフレット、しおり、webサイトについての作成もあってしかるべきと考えますが、いかがでしょうか。困っている人に寄り添ったものに、改定をするべきです。例えばウェブサイトへのリンクからででも、早急にするべきと考えますが、いかがでしょうか? 答弁を求めます。
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国も、昨今の物価高などを背景に、住まいにお困りの方や、すでに生活困窮にある方が、健康で文化的な生活を送れていない状況を重くみて、「生活困窮者自立支援法など一部改正」がなされ、福祉の支援メニューの拡充が期待されます。「どんな悩みごとでも受け止める」豊島の福祉であることや、福祉事務所のイメージを「刷新」し、「相談しに来てよかった!」「生きていて良かった」と、全ての区民が心から思えるようになることを要望して、質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。
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