一般質問しました (2024年第1回定例会)

「立憲・れいわ・市民の会」の塚田ひさこです。「誰ひとりとりのこさないまちづくり」と題し、一般質問を行います。

第一に「2024年度予算について」、その他として「地方自治法改正」について、質問をします。

2024年度当初予算の一般予算規模は、1529億円と過去最大規模の積極的な予算編成となっています。高際区長となってはじめての予算編成であり、その特徴として1、積極的な編成による過去最大規模の予算 2、区民視点を重視した予算 3、財政調整基金や起債等を活用した予算編成になった、としています。区長の「区民の声を聞いて、区がやるべきことを考えぬいて、区民目線で予算を組む」という、その方向性については、何ら異論はありません。大賛成です。区長の肝煎りで実施した、区民参加型の新事業や、子育て、教育、福祉への細やかな予算拡充についても、会派から予算要望させていただいたところと重なるところもあり、評価もしているところです。

しかし、これまでも何度も申し上げてきたことですが、賃金の上昇が物価の上昇に追いついていないだけでなく、国の経済政策の失敗により人々のくらしの格差がさらに広がっていることから、数字には現れてない、苦しい生活を強いられている方、取りこぼさされている人がいます。

 そこへの手当をするのがくらしの最前線にある自治体の責務です。声をあげられない区民の声をひろいあげて、区政につなげるのが私たちの役割と考える立場からは、今の予算措置で十分であるのか、と問わざるをえません。

まず経費別の事業費の扶助費についてお聞きします。扶助費も12年連続での増加となる438億円と過去最大規模となっています。新型コロナウイルス感染症の影響もまだまだ大きく、生活に苦しむ区民の生活を引き続き支えていかなければなりません。この扶助費の内訳についてですが、区独自の一般会計からの事業費について、お聞きします。区が何に重点を置いて、区独自の扶助費を計上しているのか、お示しください。

職員数を180人増員し区政の体制を強化するとの説明もありました。最後のセーフティネットである「生活保護行政」について。そこへの人員配置が適切なのかどうか、質問をします。

庁舎と西部福祉事務所の2箇所で、相談、申請から保護事業を行っていますが、この各福祉事務所における、現時点でのケースワーカー(正規職員数)、ケースワーカー一人当たりの担当世帯数、保護係長が担当しているケースワーカー世帯数、をお示しください。

またひとりのケースワーカーが、担う業務にはどのようなものがありますか? 

「伴走型支援」の必要性が言われていますが、具体的にはどのように対応されていますか?

ケースワーカーのさまざまな理由での休職、病欠もあるかと思いますが、昨年の状況についても教えください。

国の基準としては、ケースワーカー一人あたり80世帯です。80世帯を担当するのも、かなりの負担ではないかと思われる数字ですが、それを超える状態は、職員の負担も大きく疲弊し職場環境にも影響が出るはずです。

江戸川区の福祉事務所のケースワーカーが、孤独死した生活保護受給者を2ヶ月以上、放置した事件がありました。この事件を受けた第三者委員会の報告書によると「20代の当該ケースワーカーは、退職者の業務を引き継ぎ、100世帯を担当していた」「経験が浅いにもかかわらず、必要なスキルや倫理観に関する研修がなかった」「協力体制が薄く、一人で抱え込んでいた」と、問題点が指摘されました。

決してあってはならない事件ですが、環境が悪ければどこでも起こりうる事件とも考えます。そこでお聞きします。

江戸川区の事件の教訓も踏まえ、ケースワーカー一人あたりの担当する世帯数は、何世帯ぐらいが理想であると考えるか? 困窮している区民に寄り添い、ニーズにしっかりと答えることができる、必要な職場環境とはどういったものか? それを構築するためには何が必要か? 答弁を求めます。

直接聞いた区民からの訴えとして、「福祉事務所の職員の対応や言動によって心が折れてしまった。もう二度と役所にも頼りたくないし、福祉事務所には行きたくない。」ということは、残念ながら実際にあります。この方は、自分で勇気を出して役所に相談にいったものの、地域包括センター、福祉事務所、くらし・しごと相談支援センター、社会福祉協議会、また福祉事務所にもどされ、相談先で転々とたらいまわしのような状態に置かれていました。

困窮している人が自ら、福祉事務所の窓口に来るのは、かなり勇気のいることです。すでに心が痛んでしまっており、ささいな言動や対応で、心を閉ざしてしまう。また困窮者はお金のことだけでなく、問題を複数抱えている場合が多く窓口で訴えられることと、主訴が別のところにある場合もあります。

くらしや仕事、家族の問題などで「困っている人」に対して、わかりやすい一元化された窓口を設けるべきではないでしょうか? 特に困窮者や困難な問題を抱えている人に対して、相談を断らない、たらいまわしにしない「窓口」や、困難なケースについては、チームを組んで、問題解決を伴走型で一緒に考えていく必要性があるのではないでしょうか? (自立支援課と、福祉事務所、その他の部署との連携があったと思うが、今はどうなっているのでしょうか?)

このような課題に対しての予算措置はできているのでしょうか? 答弁を求めます。

昨年10月23日発行の「広報としま 生きづらさサポート特集号」の区長メッセージには「医療、介護、教育、就労、ハラスメントや虐待の問題などご本人やご家族を取り巻く様々な課題を、横串を通して複合的に考え、その方に寄り添い、押し付けず対応する。まさに福祉の根幹が問われていると考えています」とあります。これを、ぜひ早急に、誰ひとりとりのこざずに、やっていただきたいと要望します。

●投資的経費から都市再生やまちづくり事業

 次に投資的経費についてです。対前年度比71億円増の248億円と、当初予算の中でも大きな割合を占めます。「都市整備」の予算編成方針の基本方針も示されましたが、ここに「区民目線」を、どのように反映させていくのか? を問うていきたいと思います。

都市開発法2条1号によると、市街地都市開発事業は、施工区域内の既存建物を取り壊し、新たな再開発建物の建設にあわせて道路や公園などの公共施設を整備することにより、市街地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を目的とする、公共性の高い事業であるとあります。

そこで基本的な確認です。市街地再開発事業のまちづくりにおける、区の役割とは何だと考えていますか? 再開発事業者と区の関係は、どのような関係だと考えていますか? 

まちが大きくかわる可能性のある「まちづくりの事業」については、事業計画を初期の段階から、広い範囲で早めに周知をするべきです。まちの再生や未来に向けて、みんなで考えて参画する、まちに住む人がさまざまな意見を出し合い、熟議をしていくことで、時間はかかるかもしれませんが、まちづくりが自分ごとになる、これが「自治」の基本です。そうしたいと考えている地域住民や区民は、大勢います。しかし実際に聞く声として、「自分の住んでいる地域のことなのに、情報が知らされなく、いつの間にか、プランが事業者主導で決まっているように感じる。地域の人のアイディアや意見を聞き入れてもらえるような機会が欲しい」というものです。

こうした区民の声に耳をもっと傾けるべきではないでしょうか。「区民目線のまちづくり」をどのように実現するつもりなのか、区長のお考えをお示しください。

 ここ数年、都市開発法にもとづく市街地再開発事業が、都内各地でも相次いで竣工が予定されています。虎ノ門、渋谷、新宿、品川などでは、超高層ビルを含む大規模な複合施設(オフィス、ホテル、ホール、商業施設)が次々とでき、まちの様子が大きく変わっています。

本区においても池袋を中心した、整備方針案が発表されており新聞報道にもなりました。

記事では、「2024年度の都市計画決定を目指す池袋西口側に加え、駅の東口でも道路の再整備を景気とした街づくりの検討が進んでいる」とし、西口エリア、東口エリア、東池袋エリアの計画の紹介をし、「都市間競争が激化する中でも埋没しない独自性の強い開発を実現できるかが鍵となる」と結んでいます。記事を読んだ区民の方からは、池袋のまちも、高層ビルが乱立するようになるのか、と戸惑ったような感想をお聞きしました。

区の資料では、投資的経費の令和10年度までの見通しが示されました。7〜9年度に300億円超で推移することが想定、特に7年度は400億円を超過することが見込まれるとあります。この歳出の増には、基金をはじめ、世代間の住民負担の公平を図るための起債を活用する、としています。

投資的経費の見通しの内訳をみると、投資的経費5カ年の合計1,515億円のうち、金額の大きな順番から市街地再開発事業が541億円、学校が229億円、特定整備路線沿道不燃化・沿道まちづくり推進事業(防災街区整備)が139億円、スポーツ施設・地域文化創造館・図書館が110億円、池袋保健所本移転が74億円、区民ひろば・区民集会室・区民事務所が54億円 などとなっています。いわゆる公共施設や学校よりも、再開発事業などのまちづくりに関する事業費が、46%を占めており、投資的経費の半分がこうした「まちづくり」のための投資的経費である、ということがわかります。

 そこで質問します。この数字の積み上げの根拠となっている、市街地再開発事業の541億円、特定整備路線沿道不燃化・沿道まちづくり推進事業(防災街区整備)139億円の、具体的な事業についてその進捗も含めお示しください。

これほどまでに巨額が費やされる再開発事業やまちづくりが、公共の事業であり区民の福祉に寄与するものであり、公共施設や学校と同様に「公共財」であるという考えがあるからこそ、区は「基金をはじめ、世代間の住民負担の公平を図るための起債を活用する」のだと受け止めています。

 私は、区民にとって必要な「公共財」への投資は、今は財政調整基金も余裕があり金利も低いので、それらを積極的に活用することについて賛成な立場です。 「公共財」であるならば、将来にわたりそれは、地域みんなの共有の社会的な資産になります。

「民間事業者による市街地再開発事業だから、区は積極的に関与できない」といったことのないよう、区は事業者ではなく区民の側にたち、まちづくりにおいても、公共の福祉の利益を一番に考え、事業を進めるべきと考えます。区の姿勢と見解をお聞きします。

「都市間競争が激化する中でも埋没しない独自性の強い開発」とは何か?を考えた時、従来型の大手事業者目線の収益優先の画一化された「まちづくり」ではなく、持続可能性のある新しいまちづくりを、地域の多様な人とともに考えるべきです。「区民目線」にたつ、豊島区オリジナルの「まちづくり」を、強く要望します。

その他の「地方自治法の改正」についてお聞きします。

昨年12月に「ポストコロナの経済社会に対応する地方制度の あり方に関する答申」が出されました。それにもとづき、今国会で非常時における国の指示を可能にする地方自治法の改正が予定されています。しかし、これらの答申や法律は2001年地方分権一括法で積み重ねてきた「地方と国は対等」という地方分権の流れを逆行させ、国の恣意的な関与を強める危険性があります。

地方自治の危機ともいえるこの動きについて、すでに出された全国知事会の提言において「憲法で保障された地方自治の本旨や平成12年の地方分権一括法によって構築された国と地方公共団体の関係の一般ルールに鑑み、国と地方の対等な関係が損なわれるおそれもあることから、その制度化及び運用に当たっては、十分な配慮が必要である」とあります。

区長はこの件について、どのような見解を持っていますか? お聞きします。

以上で私の一般質問を終わります。

ご静聴ありがとうございました。

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