住宅政策の拡充を強く要望し、会派として2026年度予算には賛成
福祉事業全般における拡充がされた2026年度予算案は、評価できる点もあるが、より良い予算案にするため「ミドル期単身世帯の調査費の創設や新たな家賃助成制度の創設、すまい相談支援員経費の増加などが盛り込まれた「一般会計予算の組み替えに関する動議」に賛同。しかし賛成少数で否決されたため、予算に賛成しました。より一層、基本構想の理念が実現できるよう要望を続けていきます。
なお、今回の予算特別委員会には、会派の代表として川瀬幹事長が審議に参加。最終日の会派の「意見開陳」の全文を、ここに貼り付けておきます。
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令和8年度豊島区一般会計歳入歳出予算案、並びに国民健康保険事業会計、後期高齢者医療事業会計、介護保険事業会計、の議案について、意見開陳いたします。
審査に当たり、理事者の皆様には、資料要求や説明など迅速に対応をいただきましたことに対し、お礼を申し上げます。ありがとうございました。
また、質問に対しては、区長をはじめ理事者の方々に真摯な御答弁をいただきましたことを感謝申し上げます。また、公平公正な運営をしていただいた高橋委員長、芳賀副委員長に置かれましても感謝申し上げます。ありがとうございました。
令和8年度予算は一般会計1,690億円と過去2番目の規模となり、税収も堅調で基金残高も一定の水準を維持しているなど、財政面では安定した状況にあると受け止めています。一方で、物価高騰や家賃負担の増加など、区民の暮らしは依然として厳しい状況にあります。区民生活の実感と財政の数字との間にギャップがあるのではないか、という思いから「財政は安定しているが、区民の生活は安心か?」という視点で、各款別にわたり審査を行ってまいりました。
以下、款別に提案、要望を含め意見を述べさせていただきます。
未利用地の暫定活用について申し上げます。
区が保有する未利用地の中には、将来的な活用方針が定まるまでの間、維持管理のみが行われている土地も見受けられます。草刈りや安全管理に一定の経費を要する中で、こうした土地を区民ニーズに応じて暫定的に活用する視点は、都市資源を有効に活かす上で重要であると考えます。例えば小規模な区有地を試行的にドッグランとして活用するなど、期間限定で原状回復も可能な形であれば、周辺住民の理解も得やすく、区民サービスの向上にもつながる可能性があります。未利用地を単に管理する資産ではなく、地域価値を生み出す資源として捉え、柔軟な暫定活用の検討を進めることを求めます。
区民費、職権消除について
住民基本台帳は、住民の生活と行政サービスを結びつける極めて重要な基盤です。その中で、居住実態がないと判断された場合に行われる住民票の職権消除は、制度の適正運用のために必要な事務である一方で、運用を誤れば、住民を行政の支援の網から外してしまう可能性を持つ手続きでもあります。とりわけ、子どもや高齢者、社会的に支援を必要とする方が“見えない存在”となってしまうことがあってはなりません。また、出生届が出されないことなどにより戸籍を持たない、いわゆる無戸籍の問題も、行政の支援につながりにくい深刻な課題です。実地調査や通知の徹底、関係部署との連携など、丁寧で慎重な運用を求めるとともに、誰一人取り残さない行政の姿勢を改めてお願いいたします。
清掃事務所について
今後、女性職員の採用をしていくのであれば、職場環境の整備は重要な課題です。会派で清掃事務所を視察した際、女性職員用の休憩室や浴室を拝見しましたが、現状の設備が将来的な女性職員の増加に十分対応できるのか、率直に疑問を感じました。
ごみ収集の仕事は、働き方や環境を整えることで、女性にとっても地域で働く選択肢になり得る仕事だと考えます。職員の高齢化が進み、人材確保が重要となる中、施設整備も含めた職場環境の改善を計画的に進め、女性が安心して働き続けられる職場づくりを進めていくことを求めます。
リサイクルセンター及びリユース事業について申し上げます。
区長は招集挨拶において、粗大ごみとして廃棄される前の段階で、民間事業者と連携し、利用希望者へ譲渡するリユースの取組へと再構築していく方針を示されました。まだ使える物を廃棄するのではなく、必要とする方へつなぐ取組は、環境負荷の低減と資源循環の観点からも大変重要であり、評価するものです。一方で、民間連携が進むことで、現在リサイクルセンターで行われている提供の位置づけも変化していくことが想定されます。区民にとって分かりやすく利用しやすい仕組みとなるよう、民間の力を活用しながら、リユースをより身近な循環の仕組みとして発展させていくことを求めます。
コミュニティスクールについて
地域とともに学校を支えるという理念は理解いたします。地域資源を生かした取り組みが行われている学校があることも承知しています。しかし、地域資源や人的ネットワークに依存した取り組みは、学校間格差や地域間格差を生む可能性があります。また、学校運営協議会の権限や校長の責任との関係、合意形成のプロセスなど、責任構造と運営設計についてはなお整理すべき課題があると感じています。理念の共有にとどまらず、教育の実効性を高める制度設計となっているのか、区として引き続き検証と改善を求めます。
「ケアする人がケアされる時間」について
現在、家族介護やヤングケアラー、そして福祉現場の担い手は、「ケアして当然」という無言の圧力の中で自らの人生を後回しにし、孤立を深めています。本事業は、「支え手」という役割から解放し、一人の人間として尊重し、癒やす試みです。 しかし、単なる一時的な休息に留まることのないよう、対象者が気兼ねなく「ケアを受ける」権利を行使できるよう、事業の周知と、工夫を求めます。「ケアする人を一人にしない」という豊島区の強い意志が、地域全体の福祉の質を高める礎となることを期待します。
保育園の退園届の様式について確認をいたしました。
共同親権制度の施行を控える中で、自治体によっては保護者双方の署名を求める様式も見られます。しかし、父母間に高葛藤やDVなどの事情がある場合、双方の合意を前提とする手続きは、子どもの生活や保護者の安全を脅かしかねません。その点、本区では保護者一名の記載で提出できる運用であり、現時点で変更予定はないとの答弁がありました。子どもの最善の利益と保護者の安全を守る観点から、この実務が維持されることを強く求めるとともに、今後も現場の実情に即した制度運用がなされることを要望いたします。
住宅政策について申し上げます。
都市部では未婚化や雇用構造の変化により、40代から60代前半のいわゆるミドル期シングル世帯が着実に増加しています。特に単身女性の中には、非正規雇用や賃金格差などの影響から住宅取得が難しく、生涯賃貸を前提とせざるを得ない方も少なくありません。しかし現在の住宅施策は子育て世帯や高齢者を中心に設計されており、現役世代の単身者は政策の谷間に置かれていると言わざるを得ません。ミドル期シングル世帯は、将来の単身高齢者予備軍でもあり、この段階で居住の安定を図ることは、将来の福祉需要の増大を抑え、財政負担の軽減にもつながると考えます。こうした視点に立った住宅政策について、迅速な検討と対応を求めます。
一般会計歳入のうち、特別区たばこ税について申し上げます。
豊島区において特別区たばこ税は約30億円規模の歳入であり、区財政を一定程度支える税目となっています。一方で、全国的には喫煙率が年々低下しており、健康政策の推進とともに、長期的には税収が縮小していく可能性も指摘されています。さらに豊島区は池袋という大きな繁華街を抱え、来街者の消費にも支えられているという都市構造上の特徴があります。今後、池袋駅周辺のまちづくりが進む中で、来街者動向や都市構造の変化が税収に影響を及ぼす可能性も考えられます。健康政策を着実に進めながら、将来的な減収リスクも見据え、歳入構造の在り方について引き続き検証、検討をお願いします。
以上、縷々申し述べさせていただきましたが、
これまでの審査を通じて、とりわけ住宅政策については、孤独死の増加や高齢者の住まい確保など喫緊の課題であること。また、制度から取りこぼされてきたミドル期単身世帯への支援は先送りに出来ない政策課題であることから、より一層の施策強化が必要であるとの認識を強くいたしました。このことから、住宅施策の予算増額や調査を求める趣旨が含まれる組み替え動議について、我が会派は賛成いたしました。
一方で、区長から「現在の住宅施策が100%とは考えていない。全方位でしっかり取り組んでいく」旨の発言がありました。この言葉を重く受け止め、今後の具体的な施策展開に期待したいと思います。
よって、全体を概ね了とし、令和8年度一般会計歳入歳出予算案並びに3特別会計歳入歳出予算案につきまして賛成とさせていただきます。
なお、組み替え動議への賛成と最終的な予算への賛否の判断を分けることは、地方自治法や議会運営の先例等に照らしても問題ないことは確認いたしております。
私たち議員は区民の声を届ける役割を担っています。予算の数字の向こうには、一人ひとりの暮らしがあります。そのことを忘れず、今後も区民の安心につながる区政を築いていくことを願い、意見開陳といたします。
ご清聴ありがとうございました。
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共産党さんが提案された「一般会計予算の組み替えに関する動議」は、こちらになります。
2026年度一般会計予算の組替えに関する動議
2026年度一般会計予算については、区長はこれを撤回し、下記のとおり速やかに組替えし、再提出することを要求する。
(記)
1、 2026年度一般会計予算の組替えを求める理由
物価高騰や格差と貧困が広がる中、これまで以上に困難な状況にある区民生活を守るため、緊急かつ、最小限の施策の拡充をはかるとともに、今後の財政運営に多大な影響を及ぼす不要不急の事業については削減するよう提案するものである。
2、歳出予算の組替え
(1)歳出予算の増額
①防災・救命対策普及啓発関係経費の増額(高齢者防災用品購入費助成事業の創設
②ミドル期単身世帯の調査費の創設
③物価高騰により影響を受けた介護事業者への支援金制度の創設
④物価高騰により影響を受けた障がい者サービス事業者への支援金制度の創設
➄物価高騰により影響を受けた中小企業への燃料、ガス、電気代の補助、家賃等の固定費の補助制度の創設
⑥高齢者補聴器購入費助成事業経費の増額
⑦東京都シルバーパス購入費用の助成制度の創設
⑧人材確保を目的とした介護職員宿舎借上げ補助制度の創設
⑨介護保険外の豊島区独自のヘルパー派遣費用助成制度の創設
⑩高齢者福祉基盤等整備費助成経費の創設(特別養護老人ホーム設置準備)
⑪後期高齢者の窓口負担増への医療費補助制度の創設
⑫国民健康保険料の均等割を軽減するための補助金制度創設
⑬介護保険料の負担増分を助成する補助金制度の創設
⑭安心住まい提供事業経費の増額
⑮低所得者、障がい者、高齢者、ひとり親、ミドル期単身者、若者への新たな家賃助成制度の創設
⑯子育てファミリー世帯家賃助成事業経費の増額
⑰生活困窮者自立制度関係経費の増額(住まい相談支援員経費の増)
⑱区営住宅・福祉住宅増設のための調査費の創設
⑲住宅修繕・リフォーム資金助成事業経費の増額(所得制限の緩和)
⑳商店街リフォーム助成制度の創設
21 一時保育の利用料無償化事業の創設
22 大学生・専門学校生の給付型奨学金制度及び返還支援型奨学金制度の創設
23 区立小中学校の児童生徒に対する私費負担を無償化事業経費の創設
(2)歳出予算の減額
①池袋副都心移動システム推進事業経費の減額(イケバス関係経費)
②池袋駅周辺まちづくり推進事業経費の減額
③南池袋二丁目C地区市街地再開発事業経費の減額
④東池袋一丁目地区市街地再開発事業経費の減額
➄池袋駅西口地区市街地再開発事業経費の減額
⑥大塚駅南口地区市街地再開発事業経費の減額
3、歳入予算の組替え
(1)歳入予算の増額
①財政調整基金繰入金の追加
以 上
なお、組み替え動議に賛成し、それが否決された場合、その後採決のある予算案に賛成することについては、地方自治法や議会運営の先例などにてらしても問題ないことは、確認しています。