2023年度(令和5)決算についての会派意見開陳
「立憲・れいわ・市民の会」の意見開陳を行いました。決算については、認定に賛成しました。もとになった原稿をここに掲載しておきます。
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まず、現状の社会情勢につきまして簡単に触れたいと思います。
2024年上半期の倒産件数は4887件、これは前年同期比の22.0%増)で、2年連続で前年同期を上回り、2014年上半期以降で最多です。負債総額は6810億1500万円で、2年連続で前年同期を下回っていますが、これは小規模な中小零細企業の倒産が目立ったことを示しています。日本の実質賃金の伸び率は、世界の中でも最低レベルにありその動向がずっと注目されておりますが、ことし6月に27か月ぶりに増加に転じたものの、8月には再びマイナスに転じました。
また、65歳以上の一人暮らしの女性の相対的貧困率が、44・1%にのぼることも調査でわかっています。これは、現役世代のひとり親世帯(44・5%)と同じ水準で、ふたりに一人が貧困という、どちらも大変、深刻な事態です。
私たち会派は、暮らしに最も近い基礎自治体は、区民の生活をつぶさに細やかに見て、苦しくてたちゆかない場合には、国に先駆けて、大胆に支援する行政サービスを担うべきとの立場です。一人ひとりの住民意思を尊重し、誰もが生きていてよかったと思える社会の実現を目指しています。
その立場をもって、今回の決算特別委員会では、私たち立憲・れいわ・市民の会として1、安定的で持続性のある財政であったか。2、目的に対しどれだけ実績を出せたか。そもそも目的は妥当であったか。3、区民の声が反映された施策であったか。という3つの視点に立ち決算審査に臨んで参りました。
総括質疑においては、令和5年度決算を精査するにあたり、令和6年、7年の予算編成方針に「既存事業の集中的な見直しに全庁あげて取り組むなど、区政運営の大きな転換点を迎えている」と記載があったことから、これまでの事業を見直すに至った理由やどう転換していくかについて、その要因が「5年度決算の中にあるのならば、それを区民にわかりやすく示す必要がある」との立場から質疑を致しました。
一例として、来年度から3年間「枠配分方式」を中止し、すべての事業を見直す「査定方式」にする等、大きな方針変更をするに至った理由と枠配分方式のメリットとデメリットについて、確認致しました。
それでは、款別ごとに、提言・要望を含め意見を申し上げます。
まずは、議会費、政策経営費、総務費についてです。
・「豊島区基本構想・基本計画策定事業経費」の総合計画策定 における、支援業務委託料を例にとり、区と民間コンサル会社に行政計画の素案や計画案の資料作成などを委託する際の、区のスタンスや役割分担について確認致しました。行政の計画策定においては、専門的な調査をする必要性のあるもの以外は、できるだけ庁内で職員が自ら考え作り上げるよう徹底していると答弁頂きましたので、今後もその方針で取り組んでいただけるよう要望します。
・救援センター等備蓄関係事業について、紙コップの備蓄を更新と、新たにおりものシートの備蓄を要望いたします。また災害時の避難所や仮設住宅においては、女性や子どもに対する性暴力の事例が報告されておりますので、相談機関等が記載された性暴力防止ポスター、外国人に配慮したやさしい日本語版のポスター作成と 備蓄も要望致します。応急仮設住宅等においては、性的マイノリティカップルとその家族も含め入居可能である旨の明記をお願い致します。
また、全庁的に職員を被災地支援へ送り出す仕組み、支援のノウハウや経験を庁内で共有する体制づくりをお願い致します。
・本区の広報の特色はマスメディアに対し区長自らが定例記者会見を行う点であると確認致しました。プレスリリース配信も積極的に行っておりますので今後もマスメディアの目に止まるような、効果的なプレスリリース配信するための研究を進めていただけるよう、要望します。
・現在、抜本的に見直しを進めている区の公式ホームページについては、何を重要視しリニューアルを進めているのか、ホームページの役割や行政が発信することの意義について確認致しました。本区が所有するまちづくりに関する情報に関しては、区民が知りたいと思った時や調べたい時に、これまでの経緯がわかるようアーカイブ化、オープンデータ化など、要望致します。
次に、区民費、福祉費、衛生費についてです。
・高齢者の歯科保健について、歯や口腔の健康チェックは、高齢者だけでなく子どもの虐待や生活困窮の孤立等を疑う指標になり得ます。横断的な地域医療の充実を要望致します。
・路上生活者を含む困窮者支援について。例えば区内公園にて炊き出し(お弁当配布)に並ぶ人たちは、コロナ禍以降、高止まりをしています。「目に見える貧困=路上生活者」だけでなく、目に見えにくいところに広がっている貧困についての、区の問題意識を確認致しました。今後は区内で活動をしている民間支援団体との更なる情報共有や協力支援を要望致します。
・豊島区特定不妊治療費助成事業について、不妊治療に関する問い合わせには、引き続き区民に寄り添ったより丁寧な対応をお願い致します。また、不妊治療に対する区独自の助成を要望いたします。
先天性風しん症候群予防対策については、妊娠を希望する女性とそのパートナーが、妊活を始める前に風しんの抗体検査および予防接種の助成に関する情報を入手できるよう、区HPなど周知を一層分かりやすくまとめていただくことを要望いたします。
・失語症の方の支援について、団体派遣を始め3年以上の実績もでき個人派遣に向けた準備が着実に進んでいると確認致しました。引き続き個人派遣に向けた体制づくりをお願い致します。
・高齢者虐待防止事業について、様々なケースがあり一概に解決方法は見出せませんが、認定までのプロセスを丁寧に、士業や専門家の力を借りながら当事者、介護する方々へのきめ細かなケアに努めるようお願い致します。
次に環境清掃費、都市整備費についてです。
・放置自転車対策について、放置自転車を1台撤去するごとに赤字が膨らむ状況であるため、自転車を放置させないよう対策の検討を引き続きお願い致します。
・食品ロス削減推進事業については、食べきり協力店の登録及び普及啓発について目標を定め積極的に増やす取組みをお願い致します。インセンティブをつけ、豊島区に協力して良かったと思う体制づくりに努めて頂くことを要望いたします。
・生物多様性事業について、
豊島区という都会においても自然や生物との触れ合いがあることは、子どもたちの情緒や命の大切さを育む大切な要素です。生態調査を様々な場面や部署間で活かし自然や生物保全の視点を忘れずに取り組んで頂きたと思います。
・椎名町駅北口の長崎一丁目防災街区整備事業について、
計画に遅れが生じておりますが、引き続き地権者や借家人、周辺住民に対し丁寧な調整をお願い致します。都市計画決定後は、早い段階で住民への周知とご説明をお願いいたします。
・東池袋駅周辺まちづくり方針策定については、新規事業で令和5年に初めて「まちづくり方針」が策定されました。これは事業者のみならず、区民とって非常に重要なまちづくりの上位計画であることから、策定プロセスとともに、メンバー、会議体、議論の内容等、より丁寧に示す必要があると改めて認識をしました。今後は区民の声をさらに聞く機会をつくり、必要があればより良いものに改訂をしていく柔軟な方針を求めます。
次に文化商工費、子ども家庭費、教育費についてです。
子育て世帯見守り訪問事業について、必要なご家庭全てが利用できるように現在の平日日中の開催だけでなく土日休日夜間の時間帯の対応と時間指定で予約できるよう要望いたします。
・スクールロイヤーについて、各学校が必要に応じて相談できる体制づくりを要望致します。また、スクールロイヤーによるいじめの未然防止に向けた授業や講演は、法的な側面からいじめの問題を考える機会であるため、多くの子どもたちが受講できるような設計をお願い致します。
・不登校対策委員会について、現在策定中の支援計画において、不登校の現状と課題、それらに対する取組の成果と課題を明確にするよう要望致します。にしまるーむ、中高生センタージャンプ、アシスとしま等、学校以外の居場所や相談先には実際に不登校児童生徒が利用しております。そのような居場所や相談先と不登校対策について、子ども若者課や自立促進担当課ともがしっかりと連携しながら幅広くご議論されるようお願い致します。
・家庭教育推進事業については、活動内容の周知方法の工夫と、保護者の視点やニーズを理解したテーマ設定と運営を検討いただくようお願い致します。
・若年女性つながりサポート事業については、若年女性とのつながりを着実に築いてきた民間団体が、事業を継続していけるようなサポートをお願い致します。
・区民センターについて、1階のパブリックスペースの活用は特にエントランス付近において、区主催のイベントや事業、行政サービスのチラシや案内を置くことを要望致します。来街者やにぎわい創出に特化するのではなく、区民のニーズを幅広く捉えるようお願い致します。
・南長崎マンガランド事業について、ミュージアムサロンの現状ついて確認致しました。トキワ荘を見学し、古市でお土産を見て、サロンで一息するという良い動線ができているため、こういったものを駅間に繋げられるよう探求して頂きますようお願い致します。
最後に、補足で質疑致しました情報公開制度についてです。
・区民の知る権利を保障し、公正で民主的な区政を推進することを目的として策定されたこの制度が、本区においてはどのように運用されているのか「東池袋周辺まちづくり方針」の決定過程の中で検証しました。情報公開条例の解釈と運用は、自治体によって異なる故に、行政や首長が区民への情報公開を積極的に進めようとしているのか、後ろ向きに考えているのか、その姿勢が現れるものです。残念ながら、現在の状況は「後ろ向きである」と言わざるをえません。持続可能で発展するまちづくりには、区民に対しての積極的な情報開示、透明性が必須である、ということを再度提言させて頂きます。
歳入については、
ふるさと納税について取り上げました。区はその不合理性を認識し、抜本的な見直しを区長会を通じて国に強く要望をしていることは理解致しました。今後は区民に対し、この税制について多くの方に認識してもらい、年々増加する特別税の他自治体への流出を防ぐようお願い致します。
国民健康保険事業会計については、??(##ここ入れなくていいですか?<西崎さん)
以上、令和5年度決算について、提案や要望も含め述べさせていただきました。
令和5年度決算は、数字の上からは「堅実で良い決算である」との認識は、これまでと変わらずに持っています。内容においても、非課税世帯等への給付金、物価高騰への対策、子育て世帯見守り訪問や給食費無償化などの区独自の子育て世帯への支援等、区民の生活支援に積極的に取り組んだ決算であったと評価しております。
しかし長いスパンで見た時の「持続可能な発展するまちづくり」の観点から見ると、不確実な要素が散見されました。「既存事業の集中的な見直しに全庁上げて取り組む」と明言されていますので、今後の課題として注視をして、私たちも次の予算編成審査にのぞみたいと考えています。
よって、立憲・れいわ・市民の会といたしましては、令和5年度一般会計決算並び に3特別会計決算の認定に賛成をさせていただきます。
以上で私どもの意見開陳を終了させていただきます。
御清聴ありがとうございました。